て日々

2024年10月

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朝食をとり、少しピアノを練習してから自転車で出かける。けさ閉店して、さっそく撤収工事の始まっているコンビニの前を通って大学へ向かう。

木曜日の午後には解析学の講義がある。きょうのテーマは線形汎関数と双対空間だ。基本的な定義のあとは、\((\ell^1)^*\) と \(\ell^\infty\) が同型、\((\ell^p)^*\) と \(\ell^q\) が同型、という話をする。

如法さんのMathtodonに移行した巨大基数公理botが、とある事情で今週頭から止まっていたので急遽メンテナンスした。しかしまあ、不具合の詳細は書くまい。いまは復旧したようだ。

富川祥宗『手を動かしてまなぶ基礎数学』(裳華房 2024年)を版元から頂戴した。たしか著者と面識はないと思うのだが、ありがたいことだ。

近所のコンビニが明日の朝には閉店してしまう。この「て日々」の記録によれば店がオープンしたのは2011年11月30日となっている。そのときはいろいろ余計な心配をしたのだけど、なんだかんだ、この店にはずいぶん世話になった。これまた「て日々」の記録によれば2013年9月28日のことだったそうだが、あのコンビニの前のテントでおでんをたくさん買った秋の夜のことは、いまだにいい思い出として残っている。今夜、ずいぶん片付けが進んで閑散としてしまった店に行って明日の朝食のパンを買い、店員さんに「さびしくなるね。長らくお世話になりました」と挨拶してきた。花発多風雨。人生足別離。

午前中はくたばって過ごした。午後には大学で三年生ゼミをやる。今回採用しているテキストでは、高校までの数学の背景にあるいろいろな考え方を掘り起こすような話が続くわけで、きょうは「文字の使用」がテーマだった。

ゼミの後は歩いて帰宅して夕食をとり、夜はピアノのレッスンに行った。この2週間またしてもほとんど練習ができておらずあまり進捗がないのだが、まったく弾けないことはないはずだし、弾ければ楽しいはずなのでこれからがんばって練習しなくちゃ。

朝の非常勤の講義は「仮説検定」の話。これが全15回のうちでいちばん難しいと思う。で、話してみると、講義スライドで小学校レベルの算数の間違いをしでかしていた。昨年までのスライドの使い回しで数値だけ変えたつもりが、古い数値が残っていたようだ。はずかしい。

卒業研究ゼミでは「順序数の集合の上限」「後続順序数」「順序数の全体が集合を形成しないこと」をやった。発表者の高橋くんの体調がよくなさそうで心配だった。

午後には学部4年生と大学院生向けの解析学の講義をやった。バナッハ空間論の一様有界性原理とバナッハ-シュタインハウスの定理を証明したあと、予告通りフーリエ級数が原点で発散するような連続関数の存在証明に一様有界性原理を応用した。今回は計算が多くて大変だったかもしれない。

夕食は湯豆腐にした。娘は今夜の高速バスで京都に帰る。

午前中に洗濯を済ませ、お昼前に自転車で衆院選の投票に出かけ、その足で食材の買い出しをして、帰宅して昼食に焼きそばを作って食った。

昨日の続きでノルム空間上の線形汎関数のことを考えていたら、有界でない線形汎関数の核は稠密集合であるということに気づいた。このことに関連して、線形汎関数 \(\varphi\) が有界であるための必要十分条件のひとつに \(0\notin\operatorname{Cl}(\varphi^{-1}\{1\})\) が挙げられることになる。面白いな。

夕食は生姜焼きにした。例によって深夜にカレー作り。

月曜日の講義の準備のこと。予告していたフーリエ級数が発散するような連続関数の存在証明を書いたが、一様有界性原理の証明、バナッハ-シュタインハウスの定理の証明と一緒に明日の授業の90分の尺に収まるかどうか、ちょっと心配だ。ともあれ、この話のあとは線形汎関数と双対空間の話に進むことにする。

非常勤の授業では、コロナ禍のもと遠隔授業として始まったときの名残で、毎回の講義スライドのコピーと、Microsoft Formsを使った確認テストに関する情報をMoodleに掲載していた。そのせいか、授業に出席せずに確認テストに解答して事足れりとしている学生が続出するようになった。それで真面目に出席する学生からいくらか不満を聞くようにもなった。その不満もわからないでもないので、今後は確認テストの情報をMoodleに掲載するのはやめにする。スライドのコピーのほうは復習の参考にしてもらうために毎回掲載することにしよう。それに、講義で扱った題材についての参考になりそうなリンクもMoodleに掲載している。真面目に出席している学生にとってこそ有意義なコンテンツにしなくては。

俺の考えでは、出席して話を聞くのが有意義だと、もっといえば面白いと、思ってもらえるかどうかが講師の力量が問われるところなのだ。だから、出席する価値なしと思ってサボル学生が多数いるのは、俺の力不足かもしれない。授業に出る気のない人はさっさと履修取り消してよとも思うし、真面目に出席している学生たちが、あいつらズルい、というのもまあわかる。けど、本当は、こんな面白い授業に出ないやつの気が知れない、ぐらい言われてみたいものである。

夕食には親子丼を作った。

洗濯をしてから大学へ行く。ここに詳しく書くわけにもいかないが、午前中は大学の今後の運営方針に関する学長の説明会というのに出ていた。午後には解析学の講義をした。開写像定理と閉グラフ定理の証明をしたら、残り時間がちょっと足りなくなって一様有界性原理の証明に入れなかった。それで次回は一様有界性原理とバナッハ-シュタインハウスの定理の証明をしたあと一様有界性原理を応用してフーリエ級数が発散するような連続関数の存在証明をするぞと、ハッタリの効いた予告をした。さあ、がんばって準備しなくては。

夕方からは、でぃぐこと510くんが Discord 上で主催する「集合論ゆるセミナー」に参加した。510くんがいま取り組んでいる問題の進捗報告というか、うまくいかなかったけど面白い試みを供養のために報告する回だった。次回は俺が2週間後に発表することになった。MAD族にかんするTörnquistの論文のレポートをするぞとこれまたハッタリの効いた予告をしてしまった。いよいよもって、がんばって準備しなくては。

書きかけの本の担当編集者さんからメールが来た。進捗がなくて申し訳ない。そんなわけで、あれもこれもがんばらにゃならん。クタバっている場合ではない。

夕食は娘がカニタマを作ってくれた。

昨晩は雨がけっこう強く降っていたようだ。きょうも午前中は霧雨程度だが降ったり止んだり。

仕事用のメールアドレスはあくまで仕事用なのだが、たまに面白いメールがくる。まだ詳しくは言えないけど、面白い仕事が舞い込むこともあるのだ。

学部の会議があるので大学に行ったが、研究室の真上で工事をしていて騒音がすごい。これでは仕事にならんとかなんとかいってパルタジェに避難した。解析の講義の準備は明日の分はもうできているが、そのあとの展開をどうするかを考えあぐねている状態。明日講義する一様有界性原理を応用するとフーリエ級数が原点で発散するような連続関数の存在証明ができるので、それを来週月曜日に話そうかな。

昨日の日記で「投票締め切りまで調査結果を教えてもらえない」といったのは少々誤爆気味であったようだ。共同通信社のサイト47newsこの記事「衆院選、与党過半数は微妙 自民苦戦、単独割れも」で先日の調査結果のうち政党支持率の部分がレポートされている。ついでに衆院選2024第2回トレンド調査衆院選特設ページもチェックしておこう。

午後には三年生ゼミをやった。この授業では、どんなにたどたどしい足取りでも自分の足で歩いて、テキストを自力で読む姿勢を養ってもらわねばならない。きょうのテーマは「部屋割り論法」だった。部屋割り論法の原理(\(n+1\) 人以上の人を \(n\) 部屋の個室に割り振ることは不可能)はほとんど自明だが、さまざまな応用にはあっと驚く工夫があって、決して簡単ではない。テキストに《\(n\) 個の自然数の集合には、和が \(n\) の倍数になる部分集合が必ず存在することを示せ》という演習問題が載っていた。俺を含む全員が頭をひねったが、時間内には解けなかった。解けなかったのだが、学生たちが自分の頭で考え、研究する数学者の心理状態に突入したことは、目に見えない形で大きな収穫だったかもしれない。この問題だが、ゼミのあと自室で戻って少し考えたら証明がわかった。だけど学生の自主性の芽を摘んじゃいけないので、ここには書かない。古い問題だから解答を知っている人も当然いるだろうけど、そんなわけで、彼らにはしばらく黙っていてください。

今日はピアノのレッスンはなし。夕食にラーメンを作った。娘の要望により、あごだしのあっさり系にした。夕食後ひと息ついて、夜中にカレー作りをする。今回はいつもどおりのチキンカレーだ。マッシュルームを入れるのは今回限りでやめようと思った。

昨日のことだが、家で解析学の授業の準備をしているときに衆議院選挙にかんする共同通信社のRDD電話調査が来た。ふだんは0120で始まる知らない番号からの電話には出ないのだが、たまには出てやるかと思って出たら世論調査だったのだ。きょうの非常勤の授業では、内閣支持率についての世論調査を題材として統計的推定の考え方について説明したあと、選挙の開票速報で出る「当選確実」の意味合いなどなどとともに、自分にもRDD電話調査が来たこと、調査が機械化されて大規模な調査がしやすくなった結果として調査の精度がかなり向上しているであろうこと、そうなると調査主体の情報屋さんとしても、選挙の各陣営に自信を持って情報を売れるだろうということ、だけど投票締め切りまで調査結果を教えてもらえないのだとしたら調査に協力した俺にはあんまり得がないなというボヤキなどを話して、最後に、入れたい候補がいてもいなくても投票に行きましょうと呼びかけた。入れたい候補がいなくても投票に行くべきなのは、こいつは当選させたくないという候補を落選させるために他の候補のうちマシな奴を応援すべきだという理由だ。

午前中2コマ目は本務校に戻って卒業研究ゼミだ。順序数の定義と同値な性質などについての議論をゆっくりとする。このあたりはイメージがつかめるようになるまで暗闇の中の手探りという感じが否めないので、ていねいにやるに越したことはない。

昼には教室会議があった。

午後には解析学の講義をやる。ノルム空間において閉包や内部の操作が平行移動や0倍以外のスカラー倍と可換であることを証明した後、ベールのカテゴリー定理の応用としてバナッハの逆写像定理の証明をした。ステートメントは単純だ。\(X\) と \(Y\) がバナッハ空間で \(T\colon X\to Y\) が有界線形作用素で全単射であったとすると、逆写像 \(T^{-1}\colon Y\to X\) も有界線形作用素になる。だが、これの証明がちょっと手が込んでいる。今回この証明をそれなりにきちんと辿ったので、次回は開写像定理(バナッハ空間の間の有界線形作用素が全射なら、開集合を開集合にうつす)の証明にその論法を流用できる。

夕方帰宅して晩飯の用意をする。ごはんは娘が炊いておいてくれた。つくりおき食堂のまりえさんのレシピで「いきなりチャプチェ」を作り、鶏むね肉をタレ焼きにした。

朝、なぜかスティルチェス積分のことを寝ぼけ頭で考えていた。ゆっくりと起きだし、朝食にオムレツを作った。まあまあ上手にできた。そのあと娘が友達と遊ぶと言って出かけたので、昼前後は買い出しに出て、いつものようにカレー作りをした。ただし、今回は缶詰の鯖の水煮を使った鯖カレーだ。そこそこのものができたので夕食に娘と二人で食べた。飯を食いながら、絵を描く人、描かぬ人、AIに描かせて面白がる人について、娘とああでもないこうでもないと議論した。

宿をチェックアウトして帰路につく。松山では午後に雨が降るという予報だったので途中でビニール傘を買った。14時前に自宅に到着。予報に違わずしっかり雨が降って、雷も鳴っていた。帰宅後は基本的に家でダラダラしていた。夕食は娘が作ってくれた。ありがたいことだ。

倅の誕生日が来て、とうとうあれも20歳になった。

朝、宿の近くの湊川神社にお参りしてから神戸大学に行き、先日東京出張で背負った懸案事項について菊池誠(神戸の)と黒川英徳(金沢の)と午前中いっぱい使って議論した。午後は別行動で、俺は神戸大のとある場所で自分の仕事をしながら、若い研究者たちがあいさつや議論をしにきてくれるのに対応した。夕方になって菊池が会議から黒川が哲学者とのディスカッションから戻ってくるのを待って午前中の議論の続きをし、それから夜は三人で酒盛りになって、泣いたり怒ったり笑ったりした。それだけでも、神戸に来た甲斐はそれなりにあった。

湊川神社には久しく忘れていた思い出がある。というのも、確か平成元年ごろ、俺が名古屋に住んでいた時期に、京都の立命館大学時代の旧友である仲剛志くんの結婚披露宴が楠公会館で開かれて、招かれて来たことがあるのだ。それはもう遠い昔の話になってしまったけれど、仲くんと奥さんのヒロさんは元気にしているだろうか。

朝早く娘が帰省してきたが、入れ替わりで俺が神戸に出張に行かねばならん。

午後には集合論Zoomゼミをやるはずだったが、発表者くんが現れない。なんと日付を間違えていたらしい。仕方がないので来週金曜日に延期する。

解析学の講義では、まずノルム空間 \(X\) からバナッハ空間 \(Y\) への有界線形作用素の全体 \(\mathcal{B}(X,Y)\) が作用素ノルムのもとでまたバナッハ空間になるという命題を証明し、つぎに開集合とか閉包とか若干の位相的諸概念を復習し、それからベールのカテゴリ定理の証明をした。次回にはこれを有界線形作用素の性質を調べるためにいろいろ応用することになる。

授業終了後すぐに大学を出発してJR松山駅に行く。次の特急までには1時間ほどあるので待ち時間に軽く食事をとった。岡山行きの特急しおかぜも岡山からの新幹線も全然混んでおらず、ゆったりとした気分で移動できたのはありがたかった。が、朝の荷造りのとき少々慌てていたので、メガネを持ってきていない。それにApple Watchの充電器も忘れている。まあ、それほど致命的なミスではない。たまにはApple Watchの通知から解放される日があってもいいだろう。宿に着いたのは夜の9時半ごろ。部屋に落ち着いたら、電源を切って片付けてしまう。

明日から出張ということもあり、来週の非常勤の授業の段取りを今日のうちにやっておかねばならない。毎年この時期は、世論調査にみる内閣支持率を題材として、第5回の授業で「推定」、第6回の授業で「仮説検定」の話をしているのだけど、今月は内閣が改まった直後でもあり、またメディア各社の世論調査が出揃っていないこともあり、大変やりにくい。このごろは新聞各社が調査結果をタダではネットに公開しないので、確実を期すには図書館に新聞を読みに行かねばならんが、さて。

きょうは火曜日だがうちの大学では月曜日のスケジュールで授業をする。第2時限に卒業研究セミナーをやった。順序数の基本性質のいくつかを定義に従って証明するのだが、おそらく学生たちには何をやっているのかさっぱりわからなかっただろうと思う。順序数というのはイメージをつかめばそれほど難しいものではないのだけど、フォーマルな定義となると、どの流儀でやるにせよ抽象的でよくわからないのだ。

午後の第4時限には解析の講義をする。今回からバナッハ空間の一般論に入り、有界線形作用素の作用素ノルムの話などなどをした。ノルム空間 \(X\) から \(Y\) への有界線形作用素全体の集合 \(\mathcal{B}(X,Y)\) が、\(Y\) がバナッハ空間の場合にこれまたバナッハ空間になるという定理があるのだが、これについてはステートメントだけ紹介して、証明は次回にする。

夜はピアノのレッスンに行った。来月24日に発表会があるので、今月中にひととおり弾けるように練習しといてくださいという話になった。月が改まってからは、どういう音楽にしたいか、どう表現したいかを追求する時間をとりたいというのが理由だ。はい。がんばります。

宵の口に寝落ちして夜中に目が冴えるのは最近のパターン。今朝も真夜中過ぎにクッキングタイムとなり、仕込んでいた手羽先タンドリーチキンを作り、ひよこ豆を茹でる。それらが一段落して気がすんで、寝ようと思って寝室に行き、スマホで X.com を開いたら、卒業生の好漢ねげろんがスペースを開いていたのでボイスチャットに参加して、結局朝4時前まで起きていた。

今日もきょうとて天気がよく気持ちがよいが、そんなわけであまり寝ていないので、朝のうちちょっと調子が出ない。祝日だがいつもの月曜日と同様に非常勤の講義に出かける。今日のテーマは「データのばらつき」だった。今日は本務校の授業はないので一旦帰宅し、昼食にそうめんを食った。

昼食後ひと息入れてから、再び非常勤先の松山大学に出向く。情報学部開設記念講演会というのがあって、チームラボの松村彩乃さんが話した。講演内容はチームラボがこんな会社でこんなことをしていますという話で、もちろんそれなりに面白かったが、せっかくの情報学部開設記念講演会なのだから、来年開設される松山大学情報学部がどんな学部でどんなことをしますとかなんとかいうことを、学部長就任予定者の壇裕也さんか誰かがもっとアグレッシブに話す場面があってもよかったと思う。

朝のうちに昨日やり残したベールのカテゴリ定理の証明を書き、日頃の運動不足解消のために歩いて買い出しに出かける。きょうも天気がよい。散歩日和である。

ダイレックスで肉用スパイスミックスとドレッシングを買い、ナマステRARAにクミンパウダーを買いに行く。途中、緑町のだいぶ西寄りで旅のおっちゃんが城山の登り口がわからんとかいうて困っていたので案内した。おっちゃんが車を駐めたパーキングは城に行くには便利とは言えない場所だが、今日はなかなかパーキングの空きが見つからないという。ふむ。聞けば京都は亀岡の人で、日本中の城を訪ねて回ってるらしい。このあとは宇和島と高知に行くらしい。いや、両方行くのは大変だろうけど大丈夫なのかな。まあそれはおっちゃんが決めることなのでいいや。おっちゃんを東雲神社側の登城口に案内してバイバイした俺は、予定通りナマステRARAでクミンパウダーとフェヌグリークを買い、モアイでダルマを買い、ダイレックスに戻って手羽先を買って家に戻った。

歩きながら思ったこと。これまで、しんどい時もありながらも (というかいま現在もそれなりにけっこうしんどい時なのだけど)、なんだかんだオモシロオカシク生きてこれたし、この先もなんだかんだオモシロオカシク生きていける気がする。これまでのオモシロオカシイ人生を支えてくれたみんなに感謝しつつ、これからもオモシロオカシク生きていこう。その上で、できれば、まわりの人がオモシロオカシク生活する助けになれればいいな。

むかしむかし、水前寺清子は「幸せは歩いて来ない。だから歩いて行くんだね」と歌った。面白いこと、いいことは座して待っていてもやってこない。代わりにどーしよーもないものがやってきがちだ。しかし、ここで多少の積極性を発揮して、少し動けば、少し動いたなりに、少し面白いことが見つかる。たとえば俺の場合、何の気なしに立ち寄った本屋で見つけたスパイスカレー作りの本を買って、見よう見まねで作ってみたら、そこからちゃんと面白いことが始まった。じっとしていて文句ばっかり言っていてはいけない。受け身で面白がろうというお茶の間のテレビ視聴者みたいな考えとはバイバイせねばならない。

座して待っていてやってくるどーしよーもないものの実例が、きっちり今日も郵便受けにやってきた。来年の年明けの箱根駅伝の応援キャンペーンとやらを読売新聞の子会社がやるらしく、懸賞があるから住所氏名を登録せよという。しませんよ。俺はこういうスポ根+資本主義のイベントにまったく関心がないのだ。というわけで応募用ハガキをゴミ入れに投げ込みつつ、オマケのポケットティッシュは大事に使わせてもらう。いや、返せと言われれば返しますけど。

今日も午前中に来週以降の解析の授業の段取りを考える。ベールのカテゴリ定理の証明を書かないといけない。アイデアは明快なのだが、数字合わせがちょっとめんどくさい。

午後はパルタジェでカレー当番。いつものチキンカレーに赤ワイン・ブイヨン・バターを加えたら、口あたりがだいぶマイルドになった。うん。なんだかカレーみたいだ。

未明に目が冴えてしまったので、寝るのをあきらめて松本哉『世界マヌケ反乱の手引書 増補版』を読み終えてしまった。それで午前中はちょっと調子が出なかったが、来週の授業のことをいろいろ段取りした。お昼過ぎに出かける。昨日に引き続き、とてもいい天気だ。

三番町のプネウマカレー(←けっこう美味)で飯を食ってから、県立図書館に行った。そしたら県美術館の前で警察音楽隊が演奏していて、けっこうな人だかりができていた。いやあ、俺はやっぱり吹奏楽が好きだわ。小編成ながら整った合奏が聴けてラッキーだった。

県立図書館では、2冊を貸し出し延長してもらい、3冊を借り換える。11月からしばらくの間、県立図書館は工事のため閉館してしまう。不便になるなあ。

借りてきた本のうちたとえば一冊はジョージ・マカーリ『心の革命 — 精神分析の創造』(遠藤不比人 訳, みすず書房2020年)である。あるいは物理学の新しい教科書、渡辺悠樹『解析力学 — 基礎の基礎から発展的なトピックまで』(共立出版2024年)である。俺は、研究者としてはもはやどうしようもなく枯れ果てていて、さりとて大学内で存在感を発揮し地歩を固める政治の才覚もない。となると、俺は、松本哉がいうところの「マヌケ」、あるいは菊池誠(神戸の)がいうところの「芸人」になるしかない。せめて芸の幅を広げるためにいろんな本を読まねば。

とかなんとか言いつつ、今夜もいつものカレー作り。チキンの他にニンジンとエリンギを具に用い、ウスターソースを少し加えて味を整えたが、さてどんなもんだろうか。

午後の解析の講義ではリース=フィッシャーの定理すなわち関数空間 \(L^p\) の完備性の証明をしたあと、\(L^\infty\) を紹介し、次に数列空間 \(\ell^p\) の定義と完備性の議論をした。ここまでにバナッハ空間の具体例をいろいろいじってきた。次回からは一般論に重点を移し、線形作用素の話をする。

夕方にはいつもの医者に行った。本来なら来週が次の診察の予定だったが出張が入ったので前倒しにしてもらったのだ。大学から自転車で医者に行くのは久しぶりで、普段と違う道を通ったら、なかなか楽しかった。

午前中はダラダラと過ごしてしまった。午後はパソコンに向かい、明日の解析学の講義と来週の非常勤の授業の準備をする。

昨日大学生協で買った、松本哉『世界マヌケ反乱の手引書 増補版』(ちくま文庫)という本がたいへん面白い。俺なんかはこういうのを読むとなんだか元気が出るのだが、しかしまあ読む人を選ぶ本かもしれない。頭の硬い真面目な人には、あんまりおすすめしない。

午後には三年生ゼミをやった。前回はテキストを決めただけで終わったので今回が実質的な初回である。彼らにとってはゼミ形式の授業自体が初めてであり、紙の本を時間をかけて読むことにも慣れていない。この授業を通じて受講者にゼミ形式に慣れてもらい、卒業研究につなげてもらうのだ。そのために俺が大いに助け舟を出しながら、島田茂『教師のための数学問題集』(共立出版)の最初の章「有理数と無理数」を読んだ。

夕方には神戸の菊池誠さんが訪ねてきた。目的は研究に関する連絡と打ち合わせである。主に先月14日の東京での会合の「ハラハラした」部分について意見交換し、実質的に議論を前進させるための相談をした。その後、パルタジェに行って夕食をとりながら議論を続け、最後は例によって怪しい数理哲学放談となった。圏論的集合論と超越論的主観性をめぐる怪しい見解や、フロイトをアインシュタインに引き寄せて微分幾何学的に読むトンデモ話などなどを、菊池は面白がってくれるし公表すべきだと言ってくれるわけだが、さて。

そういえば、このごろはそういうアホな話をこの「て日々」にすら書かなくなったな。

朝から雨だが、授業がある。傘をさして歩いて出かける。まず非常勤の講義では「代表値」の話をした。次に卒業研究ゼミでは整列集合の順序同形写像の一意性などなどを議論した。午後の解析学の講義では連続関数の空間 \(C[a,b]\) が一様ノルムのもとでバナッハ空間であることを証明し、\(L^p\)-ノルムのもとではそうではないので、\(L^p[a,b]\) というもっと大きな関数空間を考える必要があるよという話をした。\(L^p[a,b]\) を杓子定規に関数の集まりと考えるとノルム空間にならない(ゼロでない関数のノルムが0になることがある)ので、どうするか、というあたりの説明がちょっと難しかったかもしれない。

今月こそはおとなしくこぢんまりと過ごしていたいと思っていたが、どうもそうは問屋がおろさぬらしく、明日には来客の予定が入り、来週は出張の予定が入った。おかげでピアノのレッスンをキャンセルせねばならず、医者に行く日をズラさなければならぬ。わはははははは。スケジュール調整なんて俺のキャラじゃないぞ。

午前中は昨日やりきれなかった明日の解析の授業の準備に費やした。午後はいつものカレー作りをした。夕方になってからJR松山駅に行った。この日記に何度か登場している畏友・岩田直樹くんが、なにやらいうオケのビータ(演奏旅行)のために今夜は松山に宿泊するというので、出迎えに行ったのだ。新しくなったJR松山駅で出迎え、ホテル最寄りの電停までいよてつ市内電車で案内して、夕食は一番町の「てまり」に行った。秋刀魚の刺身、じゃこ天、太刀魚巻きなどの瀬戸内の魚料理と愛媛の地酒を岩田くんは大変喜んでくれたので、俺としても連れて行った甲斐があった。昔話で大いに盛り上がった。2軒目は二番町の「エピタフ」に行った。マッキントッシュのアンプとJBLパラゴンというスピーカーを擁する「エピタフ」の完璧なオーディオ環境で、いろいろとリクエストしてレコードをかけてもらって、なかなか幸せな時間をすごした。「エピタフ」のサウンドはプロミュージシャンの岩田くんにも喜んでもらえて、これまた連れて行った甲斐があった。

二人でいろんな話をしたが、岩田くんが言うには、高校時代に俺がテキトーに話した存在と虚無と宇宙をめぐる話がとても印象的で、その後、クラリネット奏者として現代音楽に取り組む際の休符に対する解釈に大いに影響したという。そんなこととは知らなんだ。いやあ、どんな縁で何がどうなるか、わからんもんだねえ。

おかげさまで、二日連続でとても楽しい夜を過ごさせてもらった。人生、いいことなんてなかなかないものだが、今夜のような完璧な夜もたまにはある。人生の潤いだ。昨日といい今日といい、尊敬に値する友人がいるというのは、なんともありがたいことだ。というわけで、明日からまたがんばろう。

さて今日も今日とて午前中は週明けの授業の準備に費やす。こんなペースで大丈夫なのか俺は。

夕方から、ピアノの本番のために歩いて街に出る。8月末にやる予定だった楽器店主催の「大人の音楽会」が台風のため延期されて今日になったのだ。本番がなければろくに練習なんかしないだろうと自覚しているので、こういう機会にはできるだけ出演するように心がけている。今回弾いた曲はロバート・マクスウェルの「ひき潮」だ。これは数々のイージーリスニングの楽団にカヴァーされた名曲なのだが、ピアノソロという演奏形態になると、イージーリスニング路線から多少は逸脱せねばならなくなる。1日火曜日の日記に書いたとおり、今回は居直りの境地で、やりたいようにやらせてもらうぞ、という姿勢で臨んだのだが、なかなかやりたいようにやれないのが本番というものである。今回も緊張してしまって、ピアノの音にビブラートがかかってしまいそうなくらい指が震えた。だが、おかげさまで大きな事故もなく、まあまあの仕上がりで演奏できた。ありがたいことだ。この「大人の音楽会」の常連で毎回素敵なジャズピアノを弾いてくれる玉貫さん(実は松山のジャズシーンの重鎮のひとり)に「腕を上げたねえ」と言ってもらえたのが嬉しかった。だが、玉貫さんはじめ俺以外のみなさんの演奏はもっとすごい。たとえば川村さんがフルートで吹いた「宝島」は、あの難しいリズムをきちんと合わせていたし、パルタジェでなじみの好青年ちょくだい君のチャイコフスキーはダイナミックで圧倒的だった。目の不自由そうな佐々木さんの演奏する「Wの悲劇」は大好きな曲だけに心に染みた。おかげさまで、なにしろ楽しい時間であった。

さて、終演後はちょくだい君を誘ってパルタジェに移動した。おりしもパルタジェはディナーの予約の5人グループと初めての3人グループがご来店で、ワンオペの店主カズノさんはてんてこ舞いだった。そういうとき俺は非常勤職員としてヘルプに入ってグラス洗いやら何やらを手伝う。それでまあずいぶん帰りが遅くなったが、今日一日をなんだかんだ頑張れたのが、自分でも嬉しい。いや、本当を言うと週明けの授業の準備は完了していないのだけど、今晩よく寝て、明日なんとかしましょう。

先月の休日出勤の代休を取った。午前中はまず野暮用を済ませに郵便局と銀行ATMに行き、それからの時間は月曜の非常勤の授業のスライドをいじる作業にあてた。午後にはいつもの集合論Zoomゼミをやった。超限帰納法と超限再帰による順序数上の関数の定義という重要テーマなので丁寧にやってもらった。

夕方からはいつものカレー作り。ご飯を炊いて夕食はカレーライスだ。

午後には解析学の講義の2回目をやる。予定どおり関数空間でのヘルダーの不等式とミンコフスキーの不等式を証明し、それぞれの有限和バージョンを練習問題として出した。次に、ノルム空間の文脈でのコーシー列と完備性の定義をして、連続関数の空間 \(C[a,b]\) が \(L^p\)-ノルムのもとでは完備でないことを示す例を述べた。次回は \(C[a,b]\) が一様ノルムのもとで完備であること、数列空間 \(\ell^p\) と \(\ell^\infty\)、それから関数空間 \(L^p[a,b]\) といったバナッハ空間の例を紹介する予定。\(L^p\) 空間の完備性を証明するかどうか、まだ検討中。

講義の時間以外は、数学教室が来月開催する公開講座の準備や教室のホームページの更新などなどをこまごまとやった。

午後から雨が降って、だいぶ涼しい日になった。これから1週間ほどはあまり天気がよくないようだ。まあ、季節の変わり目ってものはそういうものだわな。

さしあたり昨日言っていたとおりの明日の講義の準備をどうにか済ませた。本当は月曜の授業の準備も済ませたいのだが、なかなか集中が続かない。こんなだから、いつもヒーヒー言ってなきゃならなくなるのだ。

夜遅く、YouTubeでたわむれに「日本列島ズバリリクエスト」を検索したら、1979年2月17日の諸口あきらの放送の録音がみつかって、この日は俺は聴いていなかったとは思うが、CMからニュースから、すべてが懐かしくて嬉しかった。10代なかばの頃の俺はラジオが大好きだった。親にせびって買ってもらったナショナルのクーガー113とかいうBCLラジオ (なんという古い言葉だ!!) で KBS (というのは韓国の国営放送ではなくて京都のかつての近畿放送) やNHK-FMを聴くのが本当に好きだった。そのせいか、いまだにぼんやりと音楽を聴くのが好きすぎて、ちっとも仕事がはかどらない。

とはいえ Tomorrow is another day. (また明日がある)

きょうも天気がよい。午前中は家で昨日の授業を振り返り、講義ノートを更新した。明後日には解析学の講義の2回目でヘルダーの不等式とミンコフスキーの不等式の証明をし、\(L^p\) 空間の定義をしなければならない。毎度のことながら自転車操業である。

午後には三年生ゼミがある。初回なのでテキストを決めねばならんのだが、受講者4人のうち1人がしばらく待っても現れない。あとの3人にテキストを決めさせ、最初のいくつかのセクションをコピーさせ、今回はそれで解散になった。テキストは島田茂『数学教師のための問題集』(共立出版, 1990年/2021年)となった。これは本来なら中学・高校の数学教師、あるいは教師を目指している人のための本である。われわれのコースでは、皆が皆教職を志望しているわけではない。だが、この三年生ゼミの目的は、テキストを読み込みその内容を自分のものにして人前で発表する(聴いている者は自分の理解に照らしてその発表を吟味する)ゼミの基本スキルを身につけようということだから、数学の内容としては敢えて初等的なものを選ぶという選択肢もあるのだ。

夜はピアノのレッスンに行く。自分の練習不足を棚に上げて敢えて言えば、うちの電子ピアノではなかなか表現が追いつかないということもあるので、本物のグランドピアノを弾けるレッスンの時間はたいへん貴重だ。今日が次の土曜日の本番直前のレッスンということになる。まだ拙く危なっかしいところは多々あるが、それはそういうものとして、未熟でも下手でも弾きたいように弾かせてもらう、下手でも聴いてもらう。本番はそういう心持ちで行くことにする。しかし、「最後のフェルマータの音を俯いて弾いたなら、響いている間は俯いたままで、音を切るまで顔を上げないほうがいいですよ」と先生に指摘されたのは完全に盲点だった。