て日々

2023年10月

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午後の解析学の講義では、前回やりかけてしくじったガウス・カーネルの正定値性の証明を済ませたあと、機械学習における分類問題を論じ、解があるとすれば高次元の内積空間における線形分離問題の解に帰着されることなどの結果を説明した。今回は詳しくは触れなかったが、ここでもガウス・カーネルを使う方法が有効なはずだ。そろそろ、コンピュータを使って実際の数値例を扱うデモンストレーションくらい見せてあげないといけないな。

夜、ピアノのレッスンに行く。本番が近いのにまだ全然弾けてない。練習せねばならない。レッスン後、地下BALに行った。南アフリカから来ているネオくんと話した。先週は京都で英語漬けだったが、英語には自信がなくて、どうしても引っ込み思案になってしまう、という意味のことを (英語で) 言ったら、いや、いま現にちゃんと話してるじゃないか。それに君がさっき使った “timid” なんて単語が出てくるのは英語が話せる証拠だ。という返事だった。そうなのかもしれない。「ちゃんと話してるじゃないか」と言われたのは嬉しかった。いずれにせよ、話さねば話せるようにならないのだから、もっと積極的に英語を使うべきなのは確かだな。やった分だけしか身につかない。これは、ピアノやサックスの演奏も数学の勉強も、同じことだ。

一週間の仕事は月曜日の朝の非常勤の講義から始まる。前回の「推定」の話を踏まえて、今回は「仮説検定」について話す。全15回のうちで、たぶん今回がいちばん難しい回である。

午後には3年生のゼミをやる。直交分解と射影作用素の話をした。

天気がよい。7時過ぎに起きて、軽い朝食をとり、着替えて洗濯をする。今日は一日ゆっくりと休もうと思う。とはいえ、出張中に受け取れなかった書留を郵便局まで受け取りに行かねばならない。自転車で15分ほどかけて行って、受け取ってみれば、なんのことはない、ペラペラの紙切れ、海外送金の入金伝票である。こないだの研究集会の参加者のために京大のゲストハウスの宿泊料金を2人分事前に立て替えており、1人がそれを海外からの銀行振込で払ってくれた、その伝票だ。この海外送金のおかげで、銀行からは電話で事情をネホリハホリ聞かれ、たかだか17,000円の送金額に対して4,000円というバカにならない手数料を取られ、きょうは郵便局まで足を運ばされ、まあろくなもんじゃない。そんなに疑わんでも、誰が17,000円ぽっちマネーロンダリングなんかしますかいな。

とはいえ、きょうは天気がよくて気持ちいいし、手数料の件を知った送金主(火曜日の日記に書いたACアダプタさん)は気前よく4,000円負担してくれたし、郵便局は思ったほど遠くなかったし、それらに免じて銀行も許すことにする。

ホテルをチェックアウトして、朝食のあと、倅の暮らす寮の前まで歩く。19歳の誕生日は10日ばかり過ぎてしまったが、俺とお姉ちゃんから、いくつか倅へのプレゼントがある。

俺としては松山に戻って早急に済まさねばならない用件がないこともないが、京都に来た以上は、母に会わずに帰るわけにはいかん。倅と二人で訪ねていく。母に会ったからとて何をするでもなく、とりとめのないことを話したり、最近亡くなったもんたよしのりのライブ映像をテレビで観たりする。これは一見すると何もしていない無駄時間に見えるかもしれないが、その無駄時間を母と過ごすことには、それなりに意義がある。

しばらくして母のもとを辞して、タクシーで京都駅に移動し、そこで倅と別れて、松山へ向けて出発する。夕方4時半ごろ松山に到着した。すぐに大学へ移動する。というのも、電源系統の点検のための停電が今朝あって、そのために教室のウェブサーバをシャットダウンしていたので、それを復旧させるためで、さっき書いた早急に済まさねばならない用件とはこれのことだ。やることといえばサーバの置いてある部屋に行って機材の電源を入れてちゃんと起動することを確認するだけ。全然たいした用件ではない。だがなおざりにもできない。

無事に帰宅して、疲れを実感する。この一週間はさすがにちょっと長かった。しかし充実して楽しかった。ありがたいことだ。明日1日しっかり休んでまた来週から頑張らねば。歩数計カウント10,481歩。移動距離8.31キロメートル。

前3日と作戦を変えて、早めに201系統の京都市バスで百万遍に行き、マクドナルドで朝食をとってから数理解析研究所に移動した。研究集会は最終日である。幹事としてバタバタさせられたこの研究集会も、みなさんのおかげで成功裡に終えることができそうだ。来年度の幹事の引き受け手も決まったし、ありがたいことである。

月曜日にも書いたとおり、この数理解析研究所の集合論研究集会シリーズにはこの数年参加していなかった。そんな俺が今年の集合論の研究集会を主催して思うに、やはりこうした研究集会に再々出てこないことには、俺には研究のモチベーションを独力で維持することができない。今回は静岡大学と神戸大学からたくさんの大学院生たちが参加して、研究発表をしてくれたし、なにより、若手どうしでとても活発にディスカッションしていたことが印象に残った。層の薄さを心配していた日本の集合論だが、最近になって優秀な若手が育ちつつあるようで、嬉しい限りだ。

ちょうど研究集会が終わる頃に、雷が鳴り、激しい雨が降った。数理解析研究所のロビーの壁一面のホワイトボードを数式と矢印まみれにしてディスカッションを続ける学生たちの様子を見守りながら、雨が小降りになるのを待った。夜は娘と大丸の前で落ち合い、四条烏丸の天天有のラーメンを食ったあと、四条通、河原町通、新京極と歩いて、サンリオギャラリーイノブンキディランドドンキホーテという具合に「かわいいもの屋さん」を見てまわった。なんでもない夜のはずだが、たくさんの外国人観光客が通る四条通は、まるでお祭り騒ぎだ。

娘とはバス停で別れて、夜9時ごろ宿に戻り、娘の薦めで買ったクナイプの入浴剤を使った風呂に入って疲れを癒す。ひと眠りして、夜中に目が覚めたので、次の月曜の非常勤の講義の準備を済ませた。

歩数計カウント15,305歩。移動距離12.07キロメートル。

京都滞在4日目。朝食はやよい軒。昼食はローソンのお弁当。研究集会も3日目となるとそろそろ佳境である。まあ、運営側としては疲れも出てくるのだけど。

今日の最後のStefan Hoffelnerの講演は記述集合論に関するものだった。\(\Pi^1_3\) の一意化原理を強制法で実現するという話で、大変面白かった。\(\Pi^1_1\) と \(\Sigma^1_2\) の一意化はZFCで証明できて、それが名高い近藤の一意化定理なのだが、それより高い階層の射影集合の一意化はZFCでは証明できないことが古くから知られている。1970年代には \(\mathbf\Delta^1_2\) 集合に関する決定公理から \(\Pi^1_3\) の一意化原理が示されることが Moschovakis によって示された。Hoffelnerは同じ一意化原理を、決定公理の力を借りることなく \(L\) 上の強制法で実現したというのだ。

古典的な結果である \(\Pi^1_1\) の一意化原理は、\(\mathbf\Sigma^1_2\) のルベーグ可測性やベールの性質と組み合わせることで、記述集合論における強力なツールになる。だから、Hoffelnerのモデルで \(\mathbf\Sigma^1_4\) のルベーグ可測性やベールの性質が成立しているか、あるいはせめて \(\Pi^1_3\) の一意化原理を壊すことなく \(\mathbf\Sigma^1_4\) のルベーグ可測性とベールの性質が強制できれば嬉しい。また、一意化原理を強制できるとしたら、それより強い「スケールの存在」はどうだろうか。そんなふうにいろいろな考えを刺激されたのだけれども、講演が長引いてしまい、質問の時間があまり取れなかったので、聞きそびれた。

夕方から、俺、カダ、ヨリオカ、ディエゴというメンバーで市役所近くのアイリッシュパブ「ダブリン」に行ってギネスを飲んだ。ただし早目に解散して、俺は歩いてホテルに戻る。途中のコンビニで軽い夕食を買い、ホテルのコインランドリーで洗濯をした。コインランドリーは混んでいたが、どうにか4日分の洗濯を済ませることができた。

昼飯をコンビニ弁当で済ませたせいか、夕方に農学部前から市役所前までバスを利用したせいか、「ダブリン」から四条西洞院のホテルまで歩いて戻ったにも関わらず、今日はあまり歩数が伸びなかった。そうは言っても、歩数計カウント9,874歩。移動距離8.16メートル。

とかなんとか言っていたら、VivaldiブラウザiOS版がリリースされたとの知らせが入ってきた。さっそくインストールしてみよう。パソコンとiPhoneでVivaldiブラウザのメモを共有できるのはとても嬉しい。

京都滞在3日目。四条通のドトールコーヒーで朝食のあと、京阪四条駅まで歩き、出町柳から京大数理解析研究所まで歩く。昨日と同じく8時半に会場に到着。研究集会は2日目。昼飯の時間に数年ぶりに天下一品銀閣寺店に行ったら、店内がすっかり改装されていた。

会場の都合で午後は16時までに部屋を空けないといけない。それを逆手にとって、15時に店仕舞いしてしまう。ただし、その後も若い参加者たちが熱心にディスカッションをしている。頼もしい限りだ。その横で、俺たちオッサンはオッサンで、来年の幹事をどうするか等々の相談をする。

夜は、法政のツクウラくん、静岡からやってきたヨリオカくんと、河原町BAL地下の丸善で落ち合い、軽い夕食のあと、七条木屋町あたりのクラフトビールの店で飲んだ。いろいろなことを話して、なかなか有意義な時間であった。本人いわく個人の感想にすぎないそうだが、周囲の人物に対するヨリオカくんの批評能力を、俺は大いに買っているし、マメな性格のツクウラくんには、便利に使われるだけの人になってしまわないか心配しつつも、将来を期待しているのだ。

歩数計カウント13,345歩。移動距離10.92キロメートル。

宿の近くのやよい軒で朝食をとって京大へ向かう。今日から金曜日まで、数理解析研究所で集合論の研究集会である。会場はあまり広くないセミナー室にオンライン配信用の機材が配置され、それに対面での参加者も少なくはないから、かなり手狭な感じになった。ハイブリッド形式というのは初めての経験なので不安だが、テクニカルスタッフもついてくれるというので、とにかくも始めてしまう。対面の講演が3件、Zoom経由の講演が3件あった。夕方になって、6件の講演が一通り終わる頃には、だいぶ様子がわかってきた。

アメリカからの参加者の一人がノートパソコン(マイクロソフトのSurface Laptop)のACアダプタを家に忘れてきてしまったという。土曜日まで滞在する予定だから新しく買いたいと相談を受けた。家から送ってもらったらしいACアダプタの写真とノートパソコン本体を手がかりに、研究集会の講演そっちのけでネットを検索し、なんとか型番と仕様を特定できた。通販ならサードパーティーの互換品が5千円ほどで買えるが、本人は明後日の配達まではとても待てないという。仕方がない。どこかに探しにいくとしよう。

研究集会終了後、不安そうな本人を引き連れ、古い記憶を頼りに四条寺町へ行ってみた。が、懐かしいあの界隈の電気店街は、とうの昔に滅亡している。これはいけない。情報が古すぎたようだ。次に四条河原町(旧阪急百貨店のあのビル)のエディオンに行ってみた。サービスカウンターでパソコン本体やら写真やら見せて訪ねてみると、上位互換の品物が、ここにはないが吉祥院のイオン京都洛南ショッピングセンターの店にあるという。

電車で行けなくもないが、いいかげん大変なので、タクシーに乗って行った。五重塔が美しくライトアップされた東寺の前を通り過ぎると、程なく洛南のイオンにつく。2階のエディオンに行って取り置きしてもらっていた品物を見ると、マイクロソフトの純正品で、なんと1万5千円もする。背に腹は代えられぬという感じで本人がカードで支払い、ひとまず問題は解決した。なんとも高くつく忘れ物である。

さすがに帰りは電車にした。JR西大路駅まで歩き、京都駅から地下鉄で四条烏丸まで来る。本人はポケモンセンターに行くという。俺は地下の銀座ライオンでビールを2杯飲み、唐揚げとサラダで夕食にして宿に戻った。

そんなわけで今日もわりとよく動いた。歩数計カウント14,203歩。移動距離11.55キロメートル。

朝の非常勤の講義は「推定」がテーマ。例年どおり内閣支持率を題材にして、区間推定の仕組みの説明をした。講義を済ませてから帰宅し、仕切り直して京都へ向けて出発する。明日から金曜日までは京都大学のRIMSで集合論の研究集会があるのだ。この数年、この研究集会シリーズには参加すらしていなかったが、今年は12年ぶりに俺が幹事を引き受けたのだ。Zoomと対面のハイブリッド開催という不安材料もあるが、準備はまあまあちゃんとできている。

宿に荷物を置いたら、北区の某所に住む娘を訪ねていく。このごろ娘は引っ越し作業の最中なので、できれば少しは手伝ってやりたい。電子レンジを運び、フレッシュネスで晩飯を奢り、ニトリでカーテンを買ってやる。

おかげでよく歩いた。歩数計カウント16,871歩。移動距離13.65キロメートル。

いい天気である。少し朝寝坊してから、昨日行けなかったいつもの温泉に行った。明日から一週間ちょっと大変なので、今日はとにかく一日機嫌よく過ごすことを最優先にしよう。それで、お昼前に草引きなどをして家の外回りをスッキリさせた。おかげで気分がいいが、ふむ、こういうことは風呂に行く前にやるべきだったな。

午前中は編入学試験があり、監督業務のために休日出勤した。筆記試験中、どこかの幼稚園が近所の小学校を借りて運動会をしていて妙に賑やかだったり、試験終了時刻を待たずに上の階で午後の面接試験に備えてガタゴトと大きな音をたてて机の移動を始めたり、小さなハプニングがあった。小規模とはいえ入試なのできちんと実施せねばならんので緊張したが、どうにか筆記試験は無事に済んでよかった。

午後はのんびりと数学の文献を読んで過ごした。無限次元ヒルベルト空間の構造に関連してわからないことがあって、ひょっとして思いがけないところで集合論的な独立命題があるかもしれないという気がしてきた。だとしたら、いままであまりきちんと追求してこなかった方向性での議論になる。この機会にその方向性の既存の理論を勉強しておくべきだ。だが、あまりにも思いがけない命題なので、さすがにこれは反証できるんじゃないかとも思える。ハッキリと言えることはまだ何もないので、いまはこういう漠然とした話しかできない。ごめんなさい。どうしても知りたい人は個別に聞いてください。

午後の解析学の講義の最後のところ、ガウス・カーネルの正定値性の証明の途中でまたまたつっかえてしまった。この講義でつっかえて終わるのは2回目だ。恥ずかしい。簡単だと思ったところも、油断せずきちんと講義ノートを準備すべきだな。いい歳をしてこれではプロ失格である。

夜には例によって集合論のZoomゼミをやる。第3章の演習問題がなかなか終わらない。まあ、気長にやろう。

午前中は大学院のゼミ。修士論文のアウトラインを書く作業を見守る。それと、明日の解析学の講義の準備をする。

毎週のことながら、木曜日の午後はだらけてしまって使い物にならない。

朝のうちに卒業研究ゼミをやる。『周期と実数の0-認識問題』の第1章から、実代数的数の区間表示について。代数方程式の知識が多少なりと必要なので、藤田ゼミの学生にはちと苦しいようだ。いやまあ、指導する俺にとってもこのテーマはなかなか苦しいのではあるが、いろいろ調べながら具体例を計算してみると、けっこう面白いぞ。

午前中は家で午後の講義ノートを作る。今日の話題は再生核ヒルベルト空間における回帰問題だ。実験データによく当てはまる理論式、すなわち関数を見つけるという問題を扱うのだが、想定される関数の空間(数理モデル)を何らかのカーネル関数に対応した再生核ヒルベルト空間として選ぶことができれば、数理モデル自体の複雑さと関係なく、有限次元の線形代数の知識を応用して最適化できる。そういう、ちょっと耳寄りな話なのだ。それで一般論としての解法は簡単なので、次は具体的な問題に合わせた適切なカーネル関数と再生核ヒルベルト空間を選ぶことに話が帰着する。そのためにも、カーネル関数というものの性質をよく知っておく必要がある。

午後、上のような話をまずもって自分が面白がりつつ講義した。講義のあと、教員と学生が共同して作る数学・数理情報コースの準公式パンフレットに載せる個人写真を撮影してもらった。夕方、三越のジュンク堂書店に本をとりに寄って帰宅。

家で軽い夕食をとり、泥縄的に少しだけピアノの練習をしてからレッスンに向かう。

朝、いつも通りに非常勤の講義に行った。今日の内容は「データのばらつき」で、箱ひげ図、分散、標準偏差、正規分布といった話をした。うっかりスマホを家に忘れて出てきたので、講義のあと一旦帰宅した。天気がよいのでついでのことに洗濯をし、昼食も家で済ませる。

午後には3年生のゼミがある。部分空間の基底と次元、正規直交系、シュミットの直交化というあたりの話をした。今日の発表者もそれなりにきちんと準備してくれていたので、こちらとしては議論の抜けをほんの数か所指摘するだけで済んだ。さらに今日は夕方から、教員4人による自主ゼミの打ち合わせがあった。成田清正の確率微分方程式の本を輪講するというので俺も参加することにしたのだ。

これまでのパソコンで引き継いできた音楽データをMacBook Proにコピーした。こういうことはめんどくさがっていても誰も幸せにならない。さっさとやってしまうに限る。これでホルスト「組曲惑星」の12枚のアルバムの演奏も二代目桂枝雀の落語も聴けるようになった。さっそく「火星」12連発と、あと枝雀落語の「宿替え」を久々に聴いて楽しんだ。

ウクライナがどうしたガザがどうしたというこの時期に「火星〜戦争をもたらすもの」を繰り返し聴いて、戦争をなくすことの難しさについて改めて考えた。前にも書いたが、戦争をなくすには、確実に勝てる戦も敢えてしかけないという自制心が必要だ。だが、勝ち戦の気持ちよさを味わいにいかない自制心というのは、ちょっと想像を絶する。とてもとても、禁酒禁煙どころじゃない。どうするのがいいのか、俺にはちょっとわからない。

午前中はいつもの温泉に行き、作りおきの惣菜を作った。午後は解析学のテキストを少し読み、パルタジェに出かけてワインを飲む。まあ、いつもの土曜日である。先月は「文系と理系」というテーマでパルタジェで話をさせてもらったが、みなさんといろいろの話していると、その流れで、浦島太郎とか、アルゼンチンタンゴとか、サイエンス(?)カフェの話題の候補が次々と出てくる。知識の商社マンとしては、なかなか楽しいのだが利益にはならない。なんとかしたい。

浦島太郎については、2009年の12月に集中的に調べて日記に書いている。これを蒸し返しても面白いだろう。

どうもこの最近、いつもに増してくたびれている。まあ仕方がない。無理のない範囲で身体を動かす。午前中は家にいて、月曜日の非常勤の講義に備えてスライドを準備したり、きょう午後の講義に備えて講義ノートを書き上げたり。昼頃に出かける。とてもいい天気だ。近所の定食屋で昼食にして、電車で大学へ行く。

金曜日の午後は学部4年生と大学院生向けの解析学の講義をやる。前回やり残したリースの表現定理を済ませたあと、カーネル関数の定義と例を話し、再生核ヒルベルト空間の定義をして、ムーア=アロンシャインの定理を述べて証明の方針だけ話した。次回はカーネル関数の和や積がまたカーネル関数になることの証明をする。

夕方もう少し作業をして、おかげさまで多少なりとも気持ちの余裕をもって週末を過ごせそうだ。ありがたいことだ。

午前中に大学院ゼミ。いよいよ実際に修士論文を書いてもらう段階である。確率微分方程式というのは俺にとって専門外の分野なので、慎重に進もう。

朝には卒業研究ゼミをやる。『周期と実数の0-認識問題』の§1.3を読み、§1.4の途中、補題1.9まで進んだ。だんだん面白くなってきた。しかし代数学は専門外なので、難しくもなってきた。多項式の判別式の明示公式なんてのも、あるだろうとは思っていたけど、具体的には知らなかったからね。

この本に出てくるいろいろの具体例をコンピュータの数値計算で確かめるとなかなか面白い。たとえば、どうやってこんな例を見つけてきたのか知らないけど、多項式 \[ F(x)=28x^3-18x^2-27x-13 \] は実根をひとつだけもち、それは \({}^4\!\!\!\sqrt5\) にかなり近い数だが、\({}^4\!\!\!\sqrt5\) そのものではない。数値計算してみると、両者は小数点以下8桁まで一致する。プログラミングを少し覚えてこんなふうに手を動かしてみると、いろいろ面白いことがわかる。だけど、いまの卒業研究ゼミで学生たちにそういうことをやらせるという話には、ちょっとなりそうにないな。

今月下旬のRIMS研究集会の準備のためにいろいろとメールをやりとりする。来月中旬の学生祭の日に教室主催の公開講座をやるので、その準備作業も進める。

きょうは火曜日だけど、大学が月曜日のスケジュールで授業をする日なので、午後には3年生ゼミをやる。初回なので題材は有限次元の複素ユークリッド空間 \(\mathbb{C}^n\) の定義と内積の性質で、特にシュワルツの不等式の証明がハイライトだった。発表担当者が思いのほかきちんと準備してくれたので大変よかった。少ししか進まなかったけれども、いい加減な理解で進むよりは、そのほうがいい。

夜には集合論Zoomゼミをやる。今週の金曜日には発表者が何か講演を聞きに出かけたいそうなので、きょうに振り替えたのだ。テキスト第3章の演習問題の続きをやる。こちらもゆっくりとしか進まないが、それはそれでよい。

きょうは祝日だけど、非常勤先で授業があるので出向く。昨晩ちょっと夜遊びして、寝坊したらいやだなと思っていたら、反動でちょっと早く行き過ぎた感がある。まあ、遅刻するよりはマシ。きょうの講義の話題は「代表値」だ。平均値を求める「合計を頭数で割る」という計算方法は誰でも知っているだろうけど、それが「合計を変えずに全体を平らに均す」ことなのだ、というイメージを持って帰ってもらいたい。そういう話などなどをする。10時に授業を済ませて帰宅して、いったん寝直し、昼食の後、午後は散歩に出る。

このMacBook ProにATOKの試用版をインストールしてみた。すでにアップル標準の日本語入力プログラムに慣れてきたところなので、キー操作だけアップル標準風の設定にして使う。変換自体はやはりATOKのほうが快適だ。試用期間は30日。さて、どうすっかな。

午前中は家でグータラと過ごし、午後には来月にあるピアノの発表会のエントリーのため楽器店に行き、本を借り換えるために県立図書館に行った。量子計算関係の本をひと山借りて、そのあとは市内の10軒のライブハウスで開催される「シュガービレッジ」というイベントで、ハシゴ酒をしつつジャズを聴いて回った。とても楽しかった。やはり音楽は生に限るね。

一日家にいて、月曜日の非常勤の講義の準備をする。スライドなどは昨年までのを使い回す気でいるのだが、それでも多少は改訂せねばならず、また Moodle というオンライン教育システムに色々のデータをアップデートもせねばならず、ほぼほぼ半日仕事である。

家の外では松山の秋祭りをやっている。荒神輿が出て方々で鉢合わせをするのだが、うちの近所は思いのほか静かだった。

今日は天気がよくて、朝に多少の時間の余裕があるので洗濯ができて気分がよい。

午後には学部4年生と大学院生向けの解析学の講義をやる。ヒルベルト空間の閉部分空間に関する直交分解と、リースの表現定理の話をしたが、リースの表現定理の証明の最後でつっかえてしまった。というのも、急いで書いた講義ノートの議論に大穴が開いてしまっていたからだ。授業時間の終わりを告げるチャイムがなったあとすぐに解決策を思いついたが、まあ次回にやり直すことにしよう。次回からはいよいよ再生核ヒルベルト空間の話に入るぞ。

夜には、今週から金曜日に移動してきた集合論Zoomゼミ。Roitmanのテキストの第3章の演習問題をやるが、4問目の途中で時間切れとなった。なかなか手強い。

木曜日は午前中にM2ゼミをやる。確率微分方程式のテキストを読んで、解が明示的に求められるケースについて考える。この路線で修士論文をまとめてもらうことになりそうだ。

午後はどうも身体がだるくて仕事にならなかった。早めに帰って酒も飲まずに休む。

大学院ゼミと同様、卒研ゼミも後期は午前中にやる。前期に読んでいたテキストは読み終えてしまったので、後期は吉永正彦『周期と実数の0-認識問題』(数学書房、2016年)の第1章と第5章を読むことにした。前期のゼミははっきり言ってゆるすぎたので、後期はもうちょっとしっかりがんばろう。

ゼミで面白かったのは、\(e^{\pi\sqrt{163}}\)がほとんど整数であるという話。実際、Python の mpmath パッケージを使って高精度な近似計算をしてみると、\[ e^{\pi\sqrt{163}} = 262537412640768743.9999999999992500725972078 \] となって、整数 262537412640768744 に非常に近い。

テキストには、ゲルフォント=シュナイダーの定理によって、\(e^{\pi\sqrt{163}}\) は超越数のはずなので云々とあった。ゲルフォント=シュナイダーの定理というのは、\(\alpha\) が 0 でも 1 でもない代数的数、\(\beta\) が有理数でない代数的数ならば、\(\alpha^\beta\) は超越数であるという主張だ。ところが \(e^{\pi\sqrt{163}}\) はどう見ても超越数の超越数乗であって、代数的数の代数的数乗には見えない。さてこれはどういうことだろうか。

これには有名なオイラーの公式 \[e^{i\pi}+1=0\] が関わっている。\(e^{i\pi}=-1\) の両辺を \(-i\) 乗すれば \(e^\pi=(-1)^{-i}\) だから \[e^{\pi\sqrt{163}}=(-1)^{-i\sqrt{163}}\] となり、確かに代数的数の代数的数乗である。

火曜と金曜の午後には4年生と大学院生に向けた解析学の講義をする。まだヒルベルト空間の初歩のところの話で、連続関数の空間 \(C[a,b]\) が内積空間としては完備でないことと、数列の空間 \(\ell^2(\mathbb{N})\) が完備な内積空間になることを証明した。金曜日には閉部分空間への直交射影の話と、リースの表現定理をやる予定だ。このあたりまでは前期(第3クォーター)に大学院生向けに話した内容と重複してしまっているのだが、それ以後は再生核とか機械学習におけるカーネル法とかの話題に移るから、全然違う話になる。

年末の勉強会の講師陣が確定した。ありがたいことだ。

火曜日の夜はピアノのレッスンに行く。原則として毎週行っているわけだが、これから発表会本番まで、教室のお休みの日やら自分の出張やらのせいで、数えるほどしかレッスン日がない。まあ仕方がない。家で普段の練習をがんばろう。

朝は非常勤の講義。なんか説明がグダグダになるところがあって反省している。後期の月曜日の午後には3年生ゼミがある。テキストとしては竹内外史『線形代数と量子力学』(裳華房、1981年)を採用した。この本はこの10年ほど毎年候補に挙げてはボツになっていたものだが、今年は4人の受講生のうち1人から強い希望があったので採用となった。そういう事情のあるテキストだから、俺としてもちょっと楽しみである。

暑さもさすがに去って、散歩するのは気持ちよかった。自然とはそのように和解しつつ、人間社会との和解は未熟な俺にとってはまだまだ先のことだと思われる。人の思惑に振り回される生活をええ加減やめにせんといかんと思う日曜日だった。