て日々

2020年2月

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きょうも今日とてコロナ騒ぎの中止騒ぎである。で、今度は何が中止になったかというと、ピアノ教室が2週間おやすみになった。それから、スーパーマーケットに行ったら噂どおりトイレットペーパーが売り切れていた。トイレットペーパーは中国製ほとんどなくて国産品だから、逼迫する可能性はいまのところないはずなのだが、噂に惑わされた人達が争って買っていったらしい。うちはまあ買い置きがまだまだあるので大丈夫だけど、なんというか、いやな世の中だ。

天気がいまひとつなので温泉行きはやめて家でシャワーを浴びる。昼過ぎにまつちかBALに行って、ワインを飲み、昼飯がわりにピザを食った。夕方からは、帰り道に買ったコロナビールを飲みながらパソコンいじり。

とうとう卒業式まで中止になっちゃったよ。貸衣裳の予約してた人達はどうするんだろ。

ピアノの出番は延期になったけれども、夜にはいつもの Garakta に行った。旅行業者も外食も大打撃らしいが、飲み屋くらいはできる範囲で支援したい。と、もっともらしい理由をつけて、要するに飲みたいのだけど。

昨日の日記に書いた数学の問題についてツイッターでぶつくさ言っていたら、薄葉季路さんから「ZFCでできるよ」との連絡をもらった。俺は、反例があるとしたら巨大基数公理が必要だというところまで考えて、そこで詰まっていた。というか、反例があったら面白いけど俺にはどうしようもないな、という方向に考えていた。そういう心構えでいるときにその反対側の選択肢の考えで証明できるわけがない。

いやあひどいもんだ。イベントらしいイベントは片っ端から流されていく。明日のピアノの出番も延期になり、来週末の神戸行きも流れてしまった。こう何もかもが中止だ延期だとなると、景気にも大ダメージだね。しかし一介の市民にできることはそれほどあるわけもない。ボヤきつつ、いつもように仕事をする。

昨日のゼミの件。昨日はnCoくんが就活のため東京に行っていたのだった。先週のうちにそういう趣旨のことを言ってくれていたらしいが、どうやら俺のほうがボンヤリしていた。いや、申しわけない。

Fuchsのアーベル群の本を見ていたら、シェルピンスキの結果として、次の命題が証明なしに引用されていた:\(\kappa\) を任意の無限基数とするとき、\(\kappa\) の部分集合の族 \(\mathcal{C}\) で、

  1. 各 \(X\in\mathcal{C}\) について \(|X|=\kappa\)、
  2. ふたつの相異なるメンバー \(X, Y\in \mathcal{C}\) については \(|X\cap Y|<\kappa\) で、さらに
  3. \(|\mathcal{C}|>\kappa\)

をみたすもの(サイズの大きな、ほとんど交わりのない集合族)が存在する。この命題は、\(\kappa\) が正則基数のときと、\(2^{\lt\kappa}=\kappa\) のときは確かに成立するけれども、まったく一般の特異基数でも成立するのかどうか、ちょっと考えてみたがわからない。

水曜日だがnCoくんがゼミに来ない。昨日までに本人から何か聞いていたっけ。よくわからない。少しアーベル群論の勉強を進めた。

コロナウイルスのおかげで日本数学会の年会が中止になった。ホテルと飛行機の予約をキャンセルしたが、飛行機のキャンセル料が50パーセントもかかって、けっこうダメージが大きい。

スーパーで揚げものを買って帰って夕食。それから少しピアノの練習。休肝日。

大学で入試をやっているので、降り番(=出番でない)の自分は午前中に出向くのを控えた。入試が終わる頃合いを見計らって歩いて大学に行く。午後に会議があり、そのあとはゼミの本選びなどをしていた。夜はピアノのレッスン。今週金曜日が本番なので仕上げにかからねばならぬのだが、いろいろの理由で、なんだかキツネに追われて逃げるウサギのような気分の演奏になってしまった。気持が空回りしていたのでは弾けるものも弾けない。そもそも何がしたくて本番に臨むのかをもう一度よく考えねばならんな。レッスン後はいつもの Garakta に行く。雨のせいか連休あけのせいか、2時間弱過ごしてもお客は俺を含めて3人だけで閑散としていた。まあ、そんな日もある。

日中は本を読んだりピアノの練習をしたりして過ごし、夕方から外出。フジグランのフードコートでしばらくボケっとしてから、ブックオフとハードオフで中古品を眺め、クレジットカードの引き落しに備えて銀行ATMで資金を移動し、ジュンク堂書店で物理と数学の本を物色し、またブックオフにとって返して物理の本を買うかどうかしばらく迷う。最初にコンビニで飲み物を買ったほかは結局どこでも買い物はしなかったが、3時間半にわたって、わりとよく歩いた。花粉の影響が昨日ほど出ないのは、薬が効いてきたおかげだろうか。

快晴である。午前中、昨日行けなかった温泉に行く。昼食にはラーメン。午後にも外出。まず県立図書館に行って本を返却。郊外電車で高浜へ移動し、そこから梅津寺まで歩く。夏の暑い時期に時々たどるコースなのだが、暑さのなかを歩くのと比較すると、同じコースでも驚くほど近く感じる。梅津寺の浜から見る海は太陽の光を受けてきらきらと光り、とても綺麗。砂浜でスコップを振るう4人組がいた。なにをしているのだろうと近寄ってみると、馬刀貝をとっているのだった。梅津寺から電車に乗って街へ戻り、フードコートで早めの夕食のあと、食材を買って帰宅。春の予感に溢れた気分のよい外出だったが、さすがに花粉もたくさん飛んでいたようで、夜には洟が出て困った。

朝、雨が降っていたので、いつもの温泉は延期。それはいいけど、午後には雨は止んで日光がさしてきたというのに、それでも家から出ずにだらだらと一日寝て過ごしてしまった。インフルエンザになった昨年末でもこんなに寝てばかりというのはなかったように思うのだ。

午前中はデータサイエンス関係のミーティング。ソニーのNeural Network Consoleを体験したり、2019年度後期のデータリテラシー講義の担当者の報告を聴いたり。

午後、nCoくんが研究室にやってきて、就活の状況を報告してくれた。彼はつくづく、頭の回転が速くてコミュニケーション能力の高い逸材である。

あと、まだ未確定なので本当は言うべきでないのかもしれないけど、次年度は卒業研究ゼミ生が少なからずいそうである。

朝のうち曇っていると思ったが夕方には晴れた。午前中は3月のとある業務のためのブリーフィング。午後には学部の会議。それ以外の時間は、510くんからツイッター経由で昨晩届いた質問について考えていたが、ちょいと難問である。

職場のDebianマシン、いままで学内無線LANへの接続方法がわからなくて有線で使っていたが、ちょっと事情があって無線接続できるようにしたい。無線LANを管理する総合情報メディアセンターが作っているWindowsやAndroidの接続マニュアルを参考にして、見よう見まねでテキトーに触ったら無事に接続できた。総合情報メディアセンターのマニュアルページは、Windows、macOS、iOS、Android、CentOS、Ubuntuとカバーしていて、なかなかのものなのだけれども、Debianの場合はデスクトップ環境の選び方で操作方法も多少違ってくるし、センターとしても、全部のディストロの接続方法を網羅してマニュアル化はできんから、Linuxユーザは自分でなんとかするしかないのだ。

いい天気である。弁当を作り、洗濯をし、少しピアノを弾き、大学へ行く。わが教室の慣例にしたがい、お昼どきに会議。午後、何人かの学生が研究室に来る。本を開いてみるが、疲れやすく、集中が続かない。

Google ChromeのLinux向け最新版がdebパッケージで配布されているのを知ったので、いつものパソコンにインストールしてみた。/etc/apt/sources.list.d ディレクトリにlistファイルができているから、今後はaptでアップデートできるのだろう。

水曜日なので休肝日。

いろいろ調子が出ないのではあるが、昨日に引き続き現3年生の面談1件。新年度のプロジェクトのための打ち合わせ1件。ちょっとだけ本読み。夜はピアノのレッスン。先生から少しは肯定的な評価をもらえて嬉しかった。本番まであと10日、できるだけのことはしよう。本番の(仮の)プログラムが昨日届いたのだが、うちの学生さんらしき人の名前と、かつて松山ウィンドでご一緒したことのあるNKさんの名前があった。わはは、世間は狭いなあ。しかしまあ当日が楽しみではある。

レッスン後、例によってジュンク堂に寄ってから Garakta へ。きょうは常連のよっちゃんの誕生会だった。常連の皆で巻き寿司とおでんをいただいた。偏屈者の俺は常連の全員と話が合うわけでもないけど、何人かとはそれなりに話ができる。誰もかれもに煙たがられているわけではないと実感できるだけでもありがたい。それに、こういう場所にくると、世間の皆さまがそれぞれの分野でそれぞれに優秀であるという、大学と家の往復ばかりでは忘れがちだが考えてみれば当り前のことを思い出させてもらえる。それもありがたいことだ。

ジュンク堂で買った本は赤摂也『数学と文化』(ちくま学芸文庫)とファルコナー『フラクタル』(岩波科学ライブラリー)の2冊。赤先生はこの本の「文庫化に際して」というあとがきを執筆した翌日に亡くなったという。合掌。

二月も半ばになってから寒波が来たらしい。時おり雪がちらつき、えらく寒い。とはいえ、この冬は暖い日ばかりだったのでこんな日もあっていいという気がする。それはそうと、土曜日の金比羅さん詣でのおかげでふくらはぎが盛大に筋肉痛である。階段のとくに下りがつらい。そして案の定、右膝にもダメージがきている。まあどちらも数日の辛抱だろうけど。

朝から夕方まで、卒業研究発表会。昨年までは土日に休日出勤してやっていたが、今年は平日に2部屋でパラレルにやって1日で済ませてしまう。午前中のセッションの座長を担当。こちらの部屋ではタイムキーパーを置かず、iPadのアプリ「プレゼンタイマ」を利用した。自分のゼミ生がいないと、まあ気楽なもんである。発表会終了後、現3年生が2人続けて、新年度の卒研選びのために面談に来た。

朝から小雨。洗濯をして室内干し。一日家から出ずにだらだらと過ごす。少しだけ本を読む。

Garakta常連のかずのさんの誘いで、香川県へ行って来た。女11人に対し男3人という編成で貸切バスツアー。牟礼町の海辺の牡蠣小屋で焼き牡蠣を腹一杯堪能し、ジョージナカシマ記念館で家具に感動するという体験をし、さらに琴平へ行った。

今回初参加の俺は、事前にかずのさんから「奇人変人の集まりですよ」「バスが走り出すなり酒を飲みだすような人たちですからね」と脅されていたので、どんな怪獣が集まるのかと思って、せめてもの武装としてグレンフィディックを20オンス、ヒップフラスコに入れてバッグに忍ばせて行ったのだが、いざ集まってみると、まあたしかに8時30分のツアー開始直後にワインで乾杯してはいたが、どの奇人変人もずいぶんまともで人当たりがよくて、和やかな会で安心した。そんなわけでウィスキーはあまり減らなかったが、焼き牡蠣にウイスキーをちょっとだけ振りかけて食うととても美味しいということを発見した。牟礼のその牡蠣小屋は、ビール以外の飲料は持ち込みOKなのだ。

金比羅さんに詣でるのは二十数年ぶり三度目で、行きたい行きたいと思っていただけに嬉しかった。本殿まで登れるか不安だったが、案外なんとかなった。ただ時間の都合で門前町をゆっくり見てまわる時間がとれなかったのは残念だった。

18時に松山市駅前に戻って解散。何人かはそのままGaraktaへ移動して二次会。俺はGaraktaで2杯飲んで、フジグランでキャベツを買って帰った。

朝から午後3時ごろまで、修士論文審査。先週の発表会と違って、これは大学院の教務の一環で、ずっとシリアス。M2一同は発表会にも増してきちんと準備して臨んでいる。だが審査する教員は、毎年のことながらついつい審査から脱線して数学のディスカッションに深入りしがち。そのあたり、毎年ながら面白い。

話は変わる。今週の日曜日と月曜日に「人生の楽しみかたを心得ている人」の話を書いた。それで思ったこと。

浪速の爆笑王の異名をとったあの二代目桂枝雀は、古典落語『崇徳院』のマクラで、「笑いというものは、たいへん健康によいものです。」ところが、「世の中には、面白いことがあったら笑おう、面白くなければやめておこう、という考えの方がたいへん多うございます。誤った生活態度と言わねばなりません。」だから、「皆様方におかれましては、わたくしの噺が面白かろうが面白くなかろうが、自発的に、自分のほうからまず笑ってください。」という趣旨のことを語っていた。ここでの「笑う」は「人生を楽しむ」に置き換えられそうだ。

楽しいことが、こちらから呼びもしないのに向うからやってくるなんてことは、人生においてそれほどあるはずもない。だから、自分のほうから進んで、自発的に楽しむほうがいいのだ。

俺は常日頃、事実として自分の楽しみを最優先する生活を送っていながら、主観的にはそのことに疚しさを感じがちだ。これも倒錯した態度なのだろう。楽しいことを楽しむためにも、やるべきことをテキパキと片付けることが意味をもつのだ。

職場のOA機器の廃棄。長く役にたってくれて、この「て日々」でも何度も言及した2009年版MacBook Proと2006年版iMac、それと、これも長年お世話になった、沖データのプリンタC5900dnを廃棄した。プリンタは重いのでnCoくんに手伝ってもらった。

引き続きアーベル群の勉強。数学の内容としてはまあまあ面白いが、ノートがうまく書けず、書き損じばかりする。綺麗に書くことが目的ではないので、本当はあまりこだわらずに進むほうがよいのだが、気になるときは気になるものだ。

5時半に起きて朝食と自分の弁当の用意をする。倅は7時すぎに学校へ出かけた。

水曜日は大学院のセミナー。ホモロジー完全系列の証明を完了させ、(一般のR-加群の文脈での)射影分解とExtの定義に進む。指導する立場のこちらもこのあたりはだいぶ不慣れなので丁寧にやっていたらセミナーが普段の倍くらいの時間におよんだ。それだけに、内容のあるセミナーにはなった。

吉田伸夫『時間はどこから来て、なぜ流れるのか』(講談社ブルーバックス)を読み終えた。時間の謎について、物理学の立場から、いろいろと突っ込んだ議論がされている。時間が経つ(ように見える)のはエントロピーの増大に関係しているんだというのは自分でも考えていたので、その部分を読んだときは「だからそうだって、前から言ってたじゃん」と本に向ってつぶやいてしまったが、この本のカバーするトピックはもちろんそれだけではない。俺としては、熱力学的な時間論と、相対論的な時間論、たとえば重力場による時間の進み方の変化とを、結びつけて考えたことはなかった。いやそれ以前に熱力学も相対論も量子論もマトモに勉強したことがなかった。こりゃいかん。もっと勉強せねばならん。

倅が泊まりにくるので飯の用意をする。昼食にはラーメンを作った。あちらの家でよく作っていた辛めの味噌スープと菊水の麺。3人前を2人で分けあって食う。そのあと倅は塾へ行った。自宅より落ちつくというので自習室を使いに行っているらしい。高校受験を控えていることもあって、よく勉強しているようだ。

妻が言うには20時くらいまで塾でがんばっていることもあるらしいが、倅は18時前に戻ってきた。すぐに夕食の用意をする。昼食の片付けのときに用意しておいたタネで餃子を作り、倅にも手伝わせる。最初からわかっていたことだが餃子の材料が多すぎたので、明日の俺の夕食もこれになりそうだ。

倅は夕食後はゲームをしたがるかと思ったがそうでもなく、おとなしく国語や英語の勉強をしている。ただし、その合間合間に、俺を相手にしょうもない馬鹿話がたびたび挟まる。倅の塾でのようすはもちろん見たことがないが、塾が自宅より落ちつくというのはどうやら本当で、というのも、話を聞いてくれる人がいたらいくらでもしゃべりたいという衝動があるらしい。俺を相手に無駄口をきくのが楽しくて仕方ないようで、22時半の消灯時間ぎりぎりまで、くだらないことをしゃべってはひとりで笑い転げていた。俺のところに来る機会はあまり多くないので、ひょっとしたら合宿のような気分でハイになっていたのかもしれない。かく言う俺は俺で、久々に自分以外の人に食べさせる飯を作るのが嬉しくて仕方なかった。ある意味、似た者親子である。

休日にはさまれた月曜日。飯を炊き、昨晩のうちに用意したおかずで弁当を作り、ごく普通に大学に行く。ちまちまと仕事をし、アーベル群論の勉強をする。巡回群のことは数学をちょっと勉強した人はたいてい知っているが、余巡回群(cocyclic groups)のことは初めて知った。それが位数 \(p^k\) の巡回群 \(\mathbb{Z}(p^k)\) あるいはその帰納極限の \(\mathbb{Z}(p^{\infty})\) と同型になるという証明と、整数の環 \(\mathbb{Z}\) の素数 \(p\) における局所化 \(\mathbb{Z}_{(p)}\) のイデアルが \(p^k\) で生成される単項イデアルのみであることの証明が、本日の主なメニュー。

先週金曜日のバーベキューの参加費を集金に来た院生KMDくんが妙に痛々しく脚をかばっている。どうしたのか聞いてみたら、昨日のマラソンを走っていたそうだ。それはすばらしい。先週金曜日のバーベキューを仕切ったのもこのKMDくん。わがゼミのnCoくんともども、昨日書いた「人生の楽しみ方を心得ている人」の実例である。

『数学セミナー』3月号が届いた。これで一昨年の4月号からの自分の連載が終了した。そのことをツイッターで宣言したら、思いがけないほど多くの「いいね」をもらえて、なんだか嬉しい。

夕方にはスーパーに行って食材を買いたす。明日は久々に倅が泊まりにくるので食事の面倒をみる。いや、面倒というよりむしろ、ちょっと楽しみである。

快晴である。洗濯をし、部屋に積んだ本の整理をする。実際には積んでいた本を一度床に並べて別様に積みなおしただけで、部屋が片付いたりキレイになったりという効果はほとんどないけれど、自分の部屋にどんな本があるのかを改めて確認する棚卸しの効果はあった。

午後、散歩に出る。愛媛マラソンの当日だからゴール地点の堀之内公園は大騒ぎである。スタートからちょうど4時間くらいの時点で、次々とランナーたちがゴールのゲートをくぐっていく。うちのゼミの卒業生の0-1くんも名古屋から参戦しているので、ひょっとして会えるかと思ったけど、さすがに会えなかった。

しかしなんというか、俺みたいにぼんやりと過ごすことしかできない人間と比べて、マラソンに参加しようなんて人は、はるかに人生の楽しみかたを心得ている気がする。俺は膝が悪いから走るスポーツはできないが、音楽でも何でも、本気でとりくんだほうが人生は楽しい。そりゃそうだ。ふむむむむ。

湊町のオレギョにビールを飲みにいこうと銀天街を歩いていると、はなまるうどんの前でM2生のムラカミくん・ナンバくん・サエキくんに遭遇。スマホ片手に3人でポケモンを追って歩いているという。オレギョに誘ってみたが「デブ活してきたところでお腹いっぱいなんです」とのことであった。もとより無理強いする気はない。それに、「デブ活」という表現が面白いね。次の金曜の修論審査と最終試験まで、この一週間は体力勝負だから、しっかり食っておいてください。

夜、しばらく中断していた『すごい物理学講義』を読み終えた。時間の観念が解体され、統計的・情報論的な観点から再構築される「熱の時間」という話は刺激的であった(第10章)。また、ループ量子重力理論においては、空間・時間・質量などすべての広がりに最小単位があり、その結果として場の量子論において厄介のタネであった発散の問題が回避されるという(第11章)。無限は現実にはどこにもない迷妄だというわけだが、こちとら無限集合論を研究する稼業だものだから、その部分を読んでいるときには、自分が人を誑かす詭弁論者だと非難されているような気がちょっとした。

昨晩ちと飲みすぎたので起きるのが遅くなった。朝食後、いつもの温泉に行く。寒いけれど、空の明るさは真冬のものではない。春は近い。

午後は土曜日の例にもれず、家でダラダラと過ごす。夕方、散歩を兼ねて米を買いに行く。

なにかの特別な予算で4年前に買ってもらったというiPadが、Og2さんのオフィスに未使用のまま眠っているというので、もったいないから譲り受けてきた。こういう機材で講義やセミナーの動画を気軽に撮影できるといいと思うので、その方向で少し調べてみる。

夕方、何か食うものを買いに行こうと研究室を出たら、理学部の裏庭で大学院生たちがバーベキューをしている。そういえばそういう案内をもらっていたのをすっかり忘れていた。ご相伴にあずかり、少し食べる。それから、火曜日に行けなかった Garakta に、きょうはnCoくんを伴って行く。nCoくんはさっそく持ち前のコミュ力を発揮して常連のお兄さん・お姉さんたちと会話している。

大学で修士論文発表会がある。M1学生たちが運営するのだが、俺は教室のカメラを管理する役目なので早めに会場に行ってセッティングを手伝う。M2学生14人が20分ずつ発表するので、発表会は午後まで続く。図書室では業者さんが図書の整理作業をしているので時々ようすを見にいく。他に、昼休みには数学教室の会議があり、洋書屋さんが本を持って来たり、学部3年生が新年度のゼミ選びの相談に来たり。その対応のために、たびたび発表会を抜ける。発表会が終わって撤収すると、夕方には学部の会議もある。いろいろ盛りだくさんな日だった。

昨日飲み会だったのできょうは振替休肝日。

午後、大学院のセミナー。ホモロジー群のいわゆる連結準同型を定義した。次には連結準同型が長い完全系列を生み出すことを検証するのだが、いろいろの事情でそれは次回に延期。きょうの議論は、個人的には昨年の3月ごろに一度勉強したことであり、また一昨日に勉強した蛇の補題とほぼ同じ議論であるから、さすがに明快であった。

その後、明日の修論発表会に備えてカメラのテストなど。

夕方からTGSAセミナー。加藤さんの講演は尾國さんとの共同研究の報告で、群論とグラフ理論とトポロジーと幾何学がブリリアントに交錯する話だった。そしていつものように皆でアミティエで会食。メインの料理はフィリップさん特製のカスレ。デザートのクレープも美味しかった。

朝食を済ませ弁当を作ったら、ひさしぶりに三番町ガーデンプレイスカフェに行き、県立図書館の開館時間まで過ごす。先日借りた本の返却期限なのだ。図書館に1時間ほどいて、それから大学へ。

夜はピアノのレッスン。月末の本番までレッスンの回数も残りわずかになった。こういう具合に演奏しようという方向性は見えたが、まだ道のりは長い。練習しましょう。

レッスン後、いつものように Garakta に行くが開いていない。まあよくあることだ。ジュンク堂に行って30分ほど待って戻ってきてもまだ開いていない。ふむ。もうちょっと待ってみようと思って、茜屋市駅店へ行ってラーメンを食いビールを1杯だけ飲む。9時過ぎにもう一度 Garakta の前まで行くがやっぱり開いていない。しゃあない。そういう日もある。あきらめて帰る。

アーベル群の勉強は蛇の補題。命題の主張が飲み込めれば、証明はそれほど難しくはなかった。ただし、いろいろの条件をこまごまと確認せねばならんので、手間はかかる。

3年生セミナー最終回。球面三角形の面積と内角の和の関係式 \(S=A+B+C-\pi\) を証明して終わった。

今週は水曜日にTGSAセミナーがあり懇親会に行くので、今日と木曜日を振替の休肝日にする。

渡辺政隆『一粒の柿の種』(岩波書店)を夜に読了。寝る前にちまちまと読み進めていたのだ。サイエンスコミュニケーションをテーマにした随筆集で、丁寧に淹れたコーヒーのような読後感である。

昼食にピザを焼く。今回は生地を作るのに砂糖を多めに入れ牛乳で小麦粉を練るということをした。それで仕上りは少し向上したが、おいしいピザ生地を作るのにはまだまだ工夫が必要なようだ。ソースは出来合いのを使った。ただし、ありがちなトマトソースではなく、このごろスーパーでよく見かけるキューピーのガーリックソースと、定番のバジルソース。具はトマトとピーマンと厚切りソーセージ。

夕方、神戸の菊池誠がやってきたので、前回同様アマンダコーヒーで迎える。昨年のサマースクールの資料を5人の共著書にする作業に関連して、集合論の歴史についていろいろ難しい質問を受ける。

俺が集合論について語るときには、カントールの連続体問題から記述集合論と超限集合論が生まれたという流れを主に追求し、フレーゲやラッセルがやろうとした数学の論理学への還元というアイデアが、集合論を普遍言語とする現代数学の形態を生んだ流れを無視しがちだ。俺にとっては前者の事実の流れだけで十分で、哲学的な含意を考えずとも集合論を面白がれるけれど、論理学の哲学に関心の深い菊池さんとしては、むしろ後者の思潮について詳しく知りたい。ツェルメロにもフレンケルにも、数学の基礎づけという考えが希薄なのだとしたら、数学をZFC集合論でフォーマライズできますぜ、という考えは、どこから流れこんできたんだろうか、と、これは問う側からすればいたって自然な問いかけで、答えられないのは勉強をサボってばかりいる俺が悪い。

夕食はすみれ大街道店で三津浜焼。あとで考えたら、俺も菊池さんもソースをつけずに食っていたな。

午前中、いつもの温泉に行く。

午後は自宅でだらだらと過ごし、夕方からアーベル群論の勉強をする。可換図式の矢印を追いかける議論、特に剰余群がからむ議論にはなかなか慣れないが、これも場数を踏むというか、量をこなすしかない。

夜、歩行町のグレッチへ行く。土曜日はジャムセッションの日で、今夜はとくに広島から藤井政美さんが来ることになっているのだ。一応、俺も何か楽器を持っていくのだが、きっとサックス吹きはたくさんいるだろうと思って、バッグにフルートを忍ばせていった。

数学教室の同僚の山Pさんとか、近所の古書店の大将トマトさんとか、妻の友人の旦那のN川さんとか、顔見知りが何人か来ていた。藤井さんが采配するセッションはとても楽しかった。とはいえ、俺はあまり多くの曲には参加しなかった(枯葉、グリーン・ドルフィン・ストリート、ブルー・ボッサ、セント・トーマス、曲名は忘れたがFのブルース…)ソロをとってもろくにフレーズが浮かんでこないし音も出ないし、冷汗ものだった。まあこれも、普段からきちんと練習をして、場数を踏むというか、量をこなすほかない。音楽であれアーベル群の図式であれ外国語であれ統計的推測であれ、学ぶさいの心得は同じなのだ。

夜11時にセッションが終わると、俺は急ぎ足で Garakta へ移動し、ウイスキーを飲みなおしてから帰宅。