て日々

2020年1月

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なんともう月末である。今月末〆切の用件は妙にたくさんあった。昨日までにひととおり片付けたはずだが、何か忘れてるんじゃないかと、ちょっと不安になる。

László Fuchsのモノグラフ «Abelian Groups» (Springer, 2015年) でアーベル群の勉強を開始。今日のところは第1章でいろいろの定義をざっと見た程度だけど、「定義からすぐわかること」として書いてあることに証明をつけるために、多少は頭をひねったりもする。

雑誌「現代思想」2月号の丸山善宏の論説を読んだ。量子論の考え方というか枠組みは、いまでは物理学から飛び出して、言語学や心理学などのいろいろな科学へと、かならずしも物理的な量子現象を背景とせずに応用されつつあるらしい。丸山によればこれは、確率微分方程式の理論が数理ファイナンスに応用されるからといって株の値動きの背景に物理的なブラウン運動があるわけではないのと同じことなのだそうだ。なんとも面白いことになってきたもんである。

統計の勉強は、統計的仮説検定を論じる松井・小泉の第3章に入った。

夜更かしはするものでない。朝食後うっかり二度寝してしまい、すっかりスタートが遅くなった。洗濯をすませてから自転車で大学へ。昨晩直した原稿をさらにチェックして些細な修正を何箇所か加え、最終版として先方に送る。大いに肩の荷が降りた。

その他は、研究室を訪れる人もなく、いたって静かに文献を読んで過ごした。

雨が上がって晴れ間が見えて、なんだか春めいた陽気。弁当とノートパソコンをリュックサックに入れて、歩いて大学へ行く。

大学院ゼミはExtの定義。なかなかややこしい。代数を専門としない俺たちにとっては具体例ひとつ計算するのもひと苦労だ。がんばりましょう。それはそうと、明日開催の松山解析セミナーのため、昨年夏に東北大へ転出した100000000さんが愛媛を訪問中で、わざわざ研究室に挨拶に来てくれた。

ゼミの時間以外は、一昨日書き上げた原稿を先方と相談しつつ直す作業。夕食後も家で作業を続け、日付が変わるころに一段落。

それにしても昨晩は雨と雷がひどかった。きょうの昼間には雨はやんでいて、少しだが陽も差したようだ。

松井・小泉の統計の本の勉強を再開。統計的推定を論じる第2章を終わらせた。

早めに帰宅して夕食をとってからピアノのレッスンに行く。本番まであと1か月。気をつけるべきことがいっぱいあって大変だ。

レッスン後、いつもの Garakta に行く。はじめの1時間ほどは俺とヤマダさんしかいなかったのに、21時を過ぎたころから常連・準常連たちが次々と登場して、あれよあれよと言う間に超満員になった。何かイベントでもあるのかと思うくらいだが、全然そういうことはないらしい。俺は5杯目のグラスをあけた時点で退散。

大学のインナーコミュニケーション・コラボセミナーというものに出てきた。テーマはSDGsで、思いのほか関心をそそられる話ばかりだった。それで、数学者がSDGsにどんな形で貢献できるもんだろうかと考えてみたが、あまりいいアイデアは出てこなかった。さしあたってはいままでどおりの研究と、それから統計の勉強を続けよう。上からの指示でこのなんちゃらセミナーに出てきたので、3年生ゼミに顔を出せなかったが、あとでセミナー室に行ったら、ちゃんと掃除がされていた。

先日から書いている原稿を夜になんとか仕上げて先方へ送った。なんだかんだ、今月末〆切の仕事がひと山あったが、これでひととおり片付いた。

松山へ戻るため、お昼前の新幹線に乗る。昼食は乗り換えの岡山駅の売店で買ったままかり寿司。帰宅してすぐに荷物を片付けて洗濯をする。夕食は自宅でテキトーにうどんで済ませる。疲れたが気分は悪くない。

行き帰りの電車ではカルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』(竹内薫監訳、栗原俊秀訳、河出文庫)を読んでいた。原題は “La realtà non è come ci appare” という。俺はイタリア語はよくわからないが「見かけによらぬ現実」というような意味だと推測する。ループ量子重力理論の専門家である著者が、古代ギリシャ以来の知的伝統に相当な敬意を払いつつ人類の宇宙観の歴史を語り、さらに最新の物理学の知見をわかりやすく語ってくれる。いい本だと思うが、誰がつけたか、「すごい物理学講義」という邦題は、いくらなんでもひどい。

昨年8月末のちょっとした対話がきっかけで開催が決定した数学カフェ@関西「フジタが松森さんにクラスのことを説明する会」の当日。10時すぎにホテルを出発し、心斎橋筋のサンマルクカフェで講義ノートを仕上げ、一風堂で昼食をとって会場に向かう。

会場には、高校生からオトーサンまで20人ほどの人が集まった。主催のs.t.さんはご親族関係の事情で残念ながら欠席だが、ぼんてんぴょんに山形さん、ぴあのんにそうじさんと、旧知の人も何人か来てくれている。一時間半の講演を休憩を挟みながら3コマやる。伝統論理学における類と種の階層、個物とその集まりとしてのクラスの対比、クラスでありながら個物とみなされる集合というもの、集合でないクラスの存在を明らかにしたラッセルの逆理、などなどを順を追って話し、公理的集合論におけるクラスの扱いに注目しつつZFCとNBGの公理系を解説してしめくくった。話してみて改めて、これは難しい話題だと思った。要所要所でいろいろな質問を投げて議論を引き締めてくれた松森さんはじめ聴衆のみなさんに感謝したい。

夜はとある居酒屋で懇親会。ここでもいろいろな人にいろいろな質問をもらってしゃべりまくる。大変だが楽しい時間だ。二次会はカラオケに行きたい人達と飲みなおしたい人達に分かれる。俺は飲みなおすほうに行った。商店街を歩いて道頓堀、グリコのネオンでおなじみの戎橋をわたり、また別の居酒屋に入って少し話す。宿に戻ったのが夜11時半ごろ。

午後、明日の講演に備えて大阪に行く。新大阪近辺に宿をとって、チェックインしてから梅田へ夕食に出る。夕食後、阪急三番街の紀伊国屋書店で本を見ているときに、鮭小太鼓こと沖さんに遭遇して少しお話できたので嬉しかった。

それから宿に戻って明日の講義ノートを書く。大学での講義の準備でやっているように、A4の用紙を縦横に4等分し、2枚8マスを1時間半の講義一回分とする。スライドを使わず板書で話すときは、たいていこのペースなのだ。用紙を4枚、つまり講義二回分書き、あとは明日の午前中に回して寝てしまう。

午後、昨日できなかった大学院ゼミをやる。マーティンの公理のもとで自由アーベル群でないホワイトヘッド群の存在証明がどうにか済んだ。この後はいったん前に戻って、やり残していたExt関手の性質についての定理を片付けなくてはならない。

ゼミのあとnCoくんと延々と雑談していたら、とうとう昼食が15時半になってしまった。それから、夜まで昨日に引き続き月末〆切の原稿を書く。

統計の勉強が面白くなってきたところだが、集合論の歴史について月末までにひとつ原稿を書かねばならない。ゆるゆると準備を進めてはきたが、そろそろ本格的に形にしようと、パソコンに向かう。大学院ゼミは院生nCoくんの授業スケジュールの都合で延期になった。午後に会議が2件。それ以外の時間は原稿を書いているか、疲れて寝転がっているかのどちらかだった。

夜は雨。それを見越してきょうは歩いて大学へ来たのだ。傘をさして歩いて帰る。定例の休肝日。

朝のうちに松井・小泉の第1章を終わらせた。弁当を作り、大学に行く。新年度の授業のシラバスを登録し、小さく肩の荷を降ろす。

松井・小泉の第2章は統計的推定の話。だんだん面白くなってきた。

夜はピアノのレッスン。左手の強弱を改めて練習しなおさねばならない。なかなか大変である。レッスン後はジュンク堂書店に行き、子供向けの「ユーチューバー入門」みたいな本を買ってきた。(YouTuberをカタカナ表記すると、なんか吹奏楽の中低音部みたいだ。)YouTuberになるつもりもないのだけど、仕事関係で動画があったらええんとちゃうかみたいな話が出たこともあり、簡単に動画づくりができるものなら、ひとつ経験してみたいところだ。

それから例によって Garakta に行ってウイスキーを飲んだ。

今月末〆切の仕事が沢山あるので、いろいろ読んだり書いたりせねばならない。いま読んでいる統計の本というのが、松井秀俊・小泉和之『統計モデルと推測』(講談社,データサイエンス入門シリーズ)というやつだ。現在までのところ、わりとわかりやすい。

午前中、昨日行けなかったいつもの温泉に行き、帰り道にスーパーに寄って食材を買う。午後はどこにも出かけず、例によってゆるゆると統計の勉強を進める。いまのところ第1章のいろいろな確率分布を紹介しているところを読んでいて、統計学というより、積分計算の演習問題みたいだ。

買ってきた牛すじで、夕食にカレーを作った。あまり上手にできなかった。インフルエンザで寝込みながらの年明け以来、ずっと料理をろくにしていなかったが、いいかげん自炊の習慣を取り戻すように努力すべきだ。

合宿研修2日目。成果発表だ。今年はどのグループも上手にまとめていて大変よかった。参加者が少なくてかえっていいこともあるらしい。16時ごろ帰宅したが、自分で思う以上に疲れていたようだ。まあそんなわけで、夜は家でぼんやりと過ごした。

きょうとあすは毎年恒例の合宿研修。バスをチャーターして国立大洲青少年交流の家に行く。今年は参加者があまり多くないが研修自体はいいムードで進んでいる。今年は研修の問題全5題のうち2題を提供したけれども、どちらも他の教員の問題と比べて簡単だったかもしれない。学生さんたちが問題に取り組んでいる間、教員たちは思い思いの作業をする。俺は先日からの続きで統計の勉強を少し進めた。

院生nCoくんが持ってきたモルック(mörkky)というアウトドアゲームがなかなか楽しかった。20センチほどの木の棒を地面に並べて、手元の棒を投げ並べた棒を倒して点数を稼ぐというシンプルな遊びだが、点数計算の方法に工夫があるのと、合計得点をちょうど50点にすることを目標に競いあう(50点をオーバーしたら25点から数えなおし)というルールがあるので、多少は頭を使うし、駆け引きの要素も出てくるのだ。ネットで調べたところ、もとはフィンランドで始まったスポーツだが、日本でも少しずつ普及してきているらしい。

夜は例によって他の人たちより一足早く就寝。

昼間は集合論の歴史に関連した文献を読んだ。公理的集合論のツェルメロの公理系の不具合を修正する試みは1922年ごろにフレンケルとスコーレムによって(別々に)なされた。二人は独立にほぼ同じ内容の提案をしている。そして、定式化のやり方という点でいうと、スコーレムのやり方が一般に受け入れられて今日に至っている。ところが、修正された公理系はどういう理由でか「ツェルメロ-フレンケル集合論(ZF)」と呼ばれる。昔読んだある本で「ツェルメロ-フレンケル-スコーレム集合論(ZFS)」と称しているのを見たことはあるが一般的ではない。俺もわざわざZFSとは言わないが、スコーレムの貢献にも機会があるごとに言及すべきな気がしてきた。

夕方、談話会があった。大阪大学数理データ科学教育研究センターの朝倉先生の講演。話は面白かったが、いつもの医者へ行かねばならないので講演の途中で退席せねばならん。黄昏時に交通量の多い国道を自転車で走るのはなかなか怖い。医者では、いつもの薬のほかに、年越しのときにインフルをやって以来いまだに咳が止まらないことへの対策で、麦門冬湯エキスとカルボシステイン錠、それに次回が3月中旬になることから、前もって花粉症対策の薬を出してもらった。薬が多くなって飲み方がややこしいな。夕食は南江戸のマクドナルドで済ませ、フジグラン松山で明日の朝食のパンを買って帰宅。明日と明後日は大洲で合宿なので、荷物の用意もせねばならん。

そんなわけで統計の勉強は進捗ゼロでこそないがほとんど進まない。ううむ。

朝、洗濯をしてから自転車で大学へ。午前中は昨日に引き続き本読み。午後は大学院のゼミ。前回までで、\(V=L\) を仮定して濃度\(\aleph_1\)のホワイトヘッド群が自由アーベル群になることの証明はできたことにして、今回からは \(\mathrm{MA}_{\aleph_1}\) を仮定して濃度\(\aleph_1\)の自由でないホワイトヘッド群の存在を証明する。きょうはそのうち「チェイスの条件をみたすが自由アーベル群でない、濃度\(\aleph_1\)のアーベル群の(ZFCでの)存在証明」という部分だった。ゼミのあと、少し本読みに戻る。

夕方、フジグラン松山に行ってコクヨの5ミリ方眼B5ノートを買う。統計の勉強のためだ。気に入ったノートを決めるまで、さんざん探し回った。これまでの経験上、いったんスイッチが入ってしまえば、どんなノートに書いても勉強は進むのだが、そのスイッチが入るまでがなかなか大変なので、最初のハードルを低くするためにも、気に入ったノートと気に入ったペンを使おうというわけ。それでも、今日は初日で、やはり調子がつかめなかった。まあ、ちょっとずつでも毎日進めることにする。

専門の集合論については、数年前にダイソーでまとめ買いしたスケッチブックに書いている。その他の雑多なことには、それ用の雑記帳がある。科目ごとに専用のノートを作るという、学生・生徒のみなさんにとっては全くあたりまえのことを50代のおっさんがやっているという話。

雨である。午前中は家で集合論がらみの作文の下書きをして過ごした。昼食を済ませてから、市内電車で大学へ行ったけれど、授業はないし、研究室を訪れる人もないので、事務室でひとこと挨拶した以外は結局誰とも口をきかずに夕方になってしまった。まあ、そういう日もある。

火曜日なのでいつもの時間にいつもの音楽教室に行ったが、いつになく、きょうはお休みであった。なのでいつもより30分早くいつもの Garakta に行っていつものようにウイスキーを飲んだ。いつになく、ちょっと奮発して、近々販売終了になるという竹鶴17年をストレートで飲んだところが、ふっくらと香り高くて、とてもよかった。

いろいろの事情で、これまでちゃんと勉強していなかった統計の勉強をせねばならん。気にはなっていたのでこれまでにも何冊かそういう本を買ってある。どれを読めばよいかわからんという理由で手をこまねいているというのは全くバカげているので、とにもかくにも一冊を選び、とにもかくにも読んで基本のところを学んでしまうことにする。詳しいことは改めて。

午後、散歩を兼ねて県立図書館へ行く。途中のコンビニで缶ビールを1本買って堀之内公園で飲んだあと、図書館で2時間ほど本を見ていたら、それだけで随分とくたびれた。まあ図書館のことだから、立ったりしゃがんだりを繰り返していたのだが、どうもそれしきの体力すらないらしい。仕方がない。夕方からはコタツにあたり、図書館で借りてきた本そのほかをあれこれつまみ食いしつつ、思うことをメモしたりして過ごす。

夕食に、菜の花と油揚げの味噌汁を作ったら、たいへん美味しかった。

昼すぎに、塩とトイレットペーパーを買いにフジグラン松山に行った。フードコートが混雑していて頼もしい限り。先に目当ての買いものを済ませ、タイミングを見計らってフードコートに空席を見つけ、大岩の野菜ラーメンで昼食。

夕方から本読みと論文読みをどちらも少しだけ進めた。おかげで「なにもしなかった一日」という評価はせずにすむが、しかしこれでは読むペースが遅すぎる。

休肝日。

昨年の8月31日の松森さんとの会話をきっかけに、第4回数学カフェ@関西「藤田さんが松森さんにクラスのことを説明する会」が今月下旬に開催される運びとなり、昨晩公式の告知が出た。

午前中、いつもの温泉。帰りに養命酒を買う。最近、養命酒はモデルチェンジして少し値段も高くなった。ふむ。午後は長めの昼寝のあと、竹村彰通『データサイエンス入門』(岩波新書2018年)をメモをとりつつ読む。とりかかるのが遅かったので、夜までかかって半分しか進まなかった。

貯金箱が小銭でいっぱいになったので銀行に持っていった。6千円ちょっとになったが、今年から100枚を超える硬貨の預け入れには手数料をとることにしたらしく、税込440円も払う羽目になった。なんてこった。そうなると、小銭を貯めるのも考えものだな。

水曜日から流れてきた大学院ゼミだが、nCoくんが急遽アパートの水道工事に立ち合わねばならなくなったとかで、また流れてしまった。それで午後はノートをとりながら論文を読んで過ごした。夕食は湊町の炎やラーメン。

朝、洗濯をしながらピアノの練習をする。天気もいいので歩いて大学へ行った。

他にこれといった話題もないので最近のお気に入りについて書く。BGMとして音楽をかけ流しにするときには、ストリーミングのサイト JazzRadio.com にアクセスする。いろいろなチャンネルが用意されていて、濃いジャズが聴きたい向きにはハードバップ専門のチャンネルもあるが、BGMに適したチャンネルとしては «BOSSA NOVA», «MELLOW JAZZ», «SMOOTH LOUNGE» というあたりがいい。再生はブラウザでできるが、iPhoneとiPadとAndroidとKindle Fireには、それぞれ専用アプリが用意されている。俺の場合はiPhoneアプリを常用している。

いつもの大学院ゼミはnCoくんの申し出により今週は金曜日に変更。

今月5日の日記に書いた「集合論のちょっとした結果」はHjorth(フョースと読むらしい)の論文を見たらちゃんと書いてあった。なのでこの話は終わりなのだが、これを機に、関連する話題についてMoschovakis(モショヴァキスと読む)の本の第8章で復習しておこうと思う。

水曜日なので定例の休肝日。

今月下旬になにやらそういう勉強会に出ることになっているので、予習としてSDGsの本を読む。『60分でわかる!SDGs超入門』(技術評論社)という本で、たしかにわかりやすく書いてあってありがたい。まあ、150ページあるので、さすがに「60分でわかる」は無理だと思うけどな。いや、そんなことはともかく、国家にせよ企業にせよ、あるいは個人にせよ、持続可能性ということを意識して行動せねばならんようになっているのは確かだと思うし、またそれが企業にとっては新たなビジネスチャンスを生むのだと前向きにとらえるべきだと思う。個人でできる行動としては節電とかエコバッグを常に携行することのほかに、エシカル(倫理的)な消費行動(=環境や人権に配慮したものづくりをしている企業の製品を優先的に選ぶこと)を心がけることがあるだろう。他に「なるべくプリントアウトしない」という指針が本に掲げられていた。これはしまった。俺は文書を紙にプリントアウトして読むのが好きで、今日も論文を3本もプリントアウトしたところなのだ。ううむ。せっかく買ったタブレットPCの活用をもっと真剣に考えるべきなのだな。

夜は例によってピアノのレッスン。ゆっくり弾けばまだしも細部に気をつけられるので、本番まで2か月ある現時点では、まだまだテンポを上げることを考えてはいけない。問題点を洗い出しながら、ゆっくりさらおう。

レッスン後はいつものようにGarakta Cafe&Barに行ってスコッチを3杯飲む。

仕事初め。しかし授業は明日からなので、キャンパスは至って静か。カナモリの1996年の論説を中心に文献読みをする。

夕食に「肉じゃが」と「白菜と油揚げの煮びたし」を作り、夕食後に、明日以降に備えて「かみなりこんにゃく」を作り、さらに「手羽元のタレ焼き」の仕込みをする。いちいち料理名にカギ括弧をつけるのも変なのだが、「肉じゃがと白菜と油揚げの煮びたし」と書くと2品ではなく1品の妙ちきりんな料理みたいだからね。

昨日に引き続き好天。午前中から街へ出る。昼過ぎに菊池誠(神戸の)がやってくるのでそれを迎えるためだ。ここに詳細は書けないが、ある研究集会の事後処理に関連して、ちょっとした仕事をひとつ、二人で片付けてしまおうという相談である。大街道のアマンダコーヒーで待ち合わせて2時間ほどでそれを済ませ、あとはお互いに今年の仕事の構想を語り、いろいろ意見しあう。夕食は一番町のスリーバーチュの唐揚げとビール。

菊池と話していて、今年の抱負に具体的に追加すべきことが見つかった。ひとつは、何年も前に思いついたがお蔵入りにしていた集合論のちょっとした結果を、面倒がらずに論文にすること。書いても大したことないかもしれない、というのは、よほど多作で立派な業績に事欠かない人が言うならともかく、まったく何も書かないでいる理由には、当然のことながらならないわけだから。

今年やるべきもう一つのことは、歯医者に行くことだ。

夜は宿にこもって原稿を書くのだという菊池と別れたあと、俺は歩いてフジグラン松山に行った。午前中にも、いま使っているやつよりちょっといい多色ボールペンを探して、三越や銀天街を見て回ったのだけど、これというものがなかったので、フジグラン4階の文房具コーナーを見にいった。ここにも思うようなものはなかったが、ひとつの代替案として、ジェットストリームの三色ボールペン(黒赤青)の黒の芯を別売りの緑の芯に差し替えて赤青緑の三色ボールペンとして使ってみることにした。黒のボールペンはお気に入りのスラリ0.7を引き続き使うことにする。あと、老眼鏡を買い直した。いままでのは度が強すぎたり、フレームが重かったり、どれも気に入らなかったのだ。

午後、散歩に出かける。とても天気がよく、外を歩くのはいい気分だ。

愛媛県美術館で千住博展を観た。主な展示品はこのほど高野山金剛峯寺の襖絵として奉納されることになったという、滝や断崖を描いた日本画である。若い頃、友人たちとキャンプに出かけて山の中で朝を迎えることが時々あった。そういう早朝の山の空気を思い出させる作品だ。絵に描かれた風景は動かないのだけど、それは外から見るわれわれの観点である。この絵は一瞬を切り取ってきたものではなく、絵の中にわれわれの時間軸とは独立なもう一つの時間の流れがある。霧に覆われた渓谷の底に水が流れ、ときおり鳥が甲高い声で鳴き渡る。枯葉と土の匂いの空気を吸っているような気になる。

美術館のあとは街を少しブラブラする。高島屋の7階の東急ハンズ、それからジュンク堂書店。帰宅後少し昼寝。渡辺政隆『一粒の柿の種〜サイエンスコミュニケーションの広がり』(岩波書店2008年)を読み、iTunesでピーター・ホワイトとかリッピントンズとかのフュージョンを聴く。休肝日。

午前中、まだ金曜日だけど温泉に行く。体重計に乗ってみると2キロちょっと落ちている。寝こんでいたのだから無理もない。本当ならもっと健康的に減量したいところだ。サウナは使わずゆっくり湯につかる。帰宅して洗濯。

午後、郵便屋さんが小包を届けてくれた。あけてビックリ。某フォロワーからのお年玉。久保正彰『西洋古典学入門』(ちくま学芸文庫)と Joseph J. Rotman “An Introduction to Homological Algebra, Second Edition”(Springer)の2冊を頂戴した。この歳になってお年玉を貰えるとは思わなかった。ありがとうございます!!

午後はどこにも出かけず、読みかけの『山の上のロジック学園』を読んで過ごした。夜に読了。サブタイトルに「不完全性定理をめぐる2週間の授業日誌」とあるが、不完全性定理を中心に、でもそれに限定されず、さまざまな話題を取り扱っていて、現代のロジックへのすぐれたガイドブックになっていると思った。そして、イラストのキャラクターが秀逸。

やっと外出禁止が解けたので近所の神社にお参りしてから食材を買う。

今年もいいご縁があるようにお賽銭は115円。おみくじは吉。願事:早くすれば他人の助けありて調う、とのことだった。とてもありがたいお示しだが、さて、俺の願いごとって、何だったっけ?

元日だが、まだきょう一日は外出もできない。天気がよいから布団を干す。本を読み、ある新しい論文に目を通し、ストラヴィンスキー「春の祭典」「ペトルーシカ」やオネゲルのシンフォニーを聴く。夕方に のうこ(←若い友人で医師で哲学徒)とチャットする。

インフルエンザもほぼ治り、どうにか無事に年を越せた。ひとりで新年を迎えるのは何年ぶりかわからないが、惨めな年越しにならずに済んだのは医者に早めに行ったことと妻が食料を差し入れしてくれたことのおかげである。医者に行くにあたっても、近所の医院をいくつかサジェストしてくれた妻の助力があった。ありがとう。ありがとう。

新年の抱負だけれども具体的に大きな計画はなくて、あるとすれば、書きかけの本(公理的集合論入門)を完成させること。あとPythonとデータサイエンスについて勉強して、基本的なところをちゃんと押さえる。これについてはすでに本が積んであるので、早い段階で少しでも「積み滅ぼし」をしたい。計画というより心がけとしては、なによりまず、めんどくさがらないこと。よく見聞きしよく読むこと。