て日々

2011年2月


2011年2月28日(月)くもり

夕方から修士課程2年生の「修士論文おつかれ会」にご相伴。学部生相手の飲み会と比べて、先生たちがリラックスしているのがわかる。二次会には行かずに徒歩で帰宅。とかなんとか言っているうちに2月も終わりだ。

メモ:RubyのFixnumBignumの境界は実装依存。自宅のVistaくんにインストールした Ruby 1.8.7 (i386-mingw) では32ビット以上の整数がBignumになるが、MacのSnow Leopardにプリインストールされた rubyコマンド (1.8.7 (2009-06-12 patchlevel 174) [universal-darwin10.0]) では 63ビット以上、MacRuby (MacRuby 0.8 (ruby 1.9.2) [universal-darwin10.0, x86_64]) では 62ビット以上の整数が Bignum として扱われる。OS標準の ruby よりも MacRuby のほうがソースファイルの解析に時間がかかるが、そのぶん実行は高速のようだ。これは1.8.7と1.9.2というバージョンの違いなのかどうか。


2011年2月27日(日)くもり

きょうも休日出勤。帰宅すると家の中が紙くずだらけだ。昨日の「お楽しみ会」(という名の発表会)のおかあさん劇で紙吹雪が使われたのを見てビビビときた【息子】が、昨日もきょうも紙吹雪ごっこをして遊んだのだという。ううむ。楽しいのはわかるが、ちゃんとお片づけしてくれないと困るぜ。

やる気のないあひる

木田祐司さんのUBASICのような整数計算の処理系が欲しいものだと常々思っていたところ、Ruby が多倍長整数型Bignumをサポートしていることを知った。2**4096 (2の4096乗) くらいはたちどころに答えてくれる。

irb(main):027:0> 2**4096
=> 10443888814131525066917527107166243825799642490473837803842334832839539079715
57456848826811934997558340890106714439262837987573438185793607263236087851365277
94595697654370999834036159013438371831442807001185594622637631883939771274567233
46843445866174968079087058037040712840487401186091144679777835980290066869389768
81787785946905630190260940599579453432823469303026696443059025015972399867714215
54169383555988529148631823791443449673408781187263949647510018904134900841706167
50936683338505510329720882695507699836163694119330152137968258371880918336567512
21318492846368125550225998300412344784862595674492194617023806505913245610825731
83538008760862210283427019769820231316901767800667519548507992163641937028537512
47840149071591354599827905133996115517942711068311340905842728842797915548497829
54323534517065223269061394905987693002122963395687782878948440616007412945674919
82305057164237715481632138063104590291613692670834285644073044789997190178146576
34732238502672530598997959960907994692017746248177184498674556592501783290704731
19433165550807568221846571746373296884912819520317457002440926616910874148385078
41192980452298185733897764810312608590300130241346718972667321649151113160292078
1738033436090243804708340403154190336

これはいい。いろいろ楽しめそうだ。

ちょっと試してみたところ、先日の卒業研究発表会でTK橋くんが言及した二つの数 \(2^{17} 3^5 5^{17^2}\) (前原本の定義による論理式 \(\xi_1 \in \xi_2\) のゲーデル数) と \(2^1 3^3 5^3 7^5 11^{17^2}\) (同じく論理式 \(\mathbf{2} \in \xi_2\) のゲーデル数) はそれぞれ

irb(main):028:0> (2**17)*(3**5)*(5**(17**2))
=> 32021926252562714293958793680732682735919007698944341683361205188765988283820
64476146051518774057066427937305341971387106429762335327397226803100460548572037
12273872042715083807706832885742187500000000000000000

irb(main):029:0> (2**1)*(3**3)*(5**3)*(7**5)*(11**(17**2))
=> 10405908040899044544949963731801797411130990628505231888058911334117718367188
00041220932908416894989398048902713706767299618393313906763841550270233901656882
77066773726471125695173401544383256427088195637372512923499555761641545300988496
8939252121700295611234435315832291679826915382524660092278837048235599750

と答えが出る。だが、後者は浮動小数点型の範囲を超えているため、そのままでは対数を求めることすらできない。もちろん、素因数分解がわかっているんだからちょっと工夫すればわかるんだけどね。

アッカーマン関数に関連して話題になる 4**(4**(4**4)) に至っては、計算すらしてくれなかった。まあしかたがない。これは10進表示の桁数からして154桁の大きな数になるとんでもない数なのだ。10進数2桁を1バイトで表示するBCD表現にしても、パソコンの4GBのメモリに収まるのはたかだか2,147,483,648桁の数だ。それでもずいぶん大きな数ではあろうけど、要するにせいぜい\(10^{11}\)桁の数である。\(10^{154}\)桁の数だなんて、そもそも計算できるはずもなく、仮に計算できたとしても、そんなもの画面に律儀に出力されたら、きっと宇宙が終わるまで出力が続くはずで、寿命の限られた人間としては困ってしまうのだ。

そうすると、たとえばゲーデルの不完全性定理の証明における数論的述語が実は生身の人間に扱いようのない大きな数を問題にしているのだとわかるし、一般に、数学というものがいかに途方もないものを扱っているかがわかる。

ところで、コンピュータを使った数学といえば、妻の修士課程が無事終わったら一緒に R を使った統計の勉強をしようなんてことも思っているのだ。


2011年2月26日(土)くもり

先週に引き続き土日に休日出勤。おかげで【息子】の幼稚園での生活の締めくくりとなる発表会を見に行くことができない。劇の出し物は『三匹のヤギのがらがらどん』で、【息子】は大ヤギの役だ。トロルと張り合う件(くだり)のやる気満々の顔が見ものだったそうだ。恒例の「おかあさん劇」は『桃太郎』で、三年ぶり二回めの出演となる妻は「オニ、その五」という役だったらしい。

【息子】の晴れ舞台を見られなかったのは残念だが、朝から夕方までちゃんと働いたおかげで、帰宅後の風呂あがりの気分はむしろ爽快だった。明日も頑張ろう。


2011年2月25日(金)くもり

本格的に花粉が飛び始めたようだ。外に出かけるのが憂鬱だ。昨日医者に行ったついでに薬を出してもらうべきだった。夕方、ピアノのレッスンの前に銀天街のドラッグストアに寄り、鼻炎の薬を買う。夕食は姫原 どんと のとんかつ定食。


2011年2月24日(木)くもり

夕方ちょっと時間が取れたのでいつもの医院に行って忘れ物のメモ帳を回収した。何を書いていたか思い出せないのが不安だったが、案の定、こんな小賢しいことが書いてある。

実在する真実の人間とは彼が遂行する他者との相互作用の結果であり、彼の<下線>自我</下線>と彼が作り出す自己自身の観念とは、彼の行動に基づいて得られた承認によって「媒介」されている。そして、彼の真実の自立性とは、この行動を遂行する努力によって社会的現実の中で彼が<傍点>維持する</傍点>自立性である。

これはなにかというと、無内容な「自分」を生まれてこのかたずっと担いで歩いてきていい加減疲れてしまっている俺が、「自分なんかなくてもええやん」ということにようやく思い至った今ごろになって、今更のように世間に流行りだした「自分らしさ」への強迫を横目に見ながら、日頃から考えている「自分のモトは他人である」という着想について断片的に書いた、その一部なのだ。しかしそういう文脈から切り離して読むと、単なる厨二病の青いギロンである。お医者さまに「あーぁ」とかなんとか言われてないか心配だ。

とかなんとか言って日記に書いて晒してるだから、結局は読ませたいんだったりして。そういえば日記にこういうことを書かなくなって久しいな。自己分析をやめたのはよかったんだけど。

それにしてもこのメモ、どういう考えで 維持する に傍点をつけたのか今となっては思い出せない。強調すべきなのはむしろ 社会的現実の中で のほうだ。いや、「自立性は不断の努力によって維持されるべきだ」ということを強調したかったのかもしれん。あと、自我 に下線を付したなら、ここでそれに対するものとして言及されている 自己自身の観念 にも等しく下線を付すべきだ。まあ、論文を書いているわけじゃなくて個人的なメモだから、推敲なんかしなくてもいいんだけどさ。

この数年間ユング心理学関係の話題から意識的に遠ざかっていたのだが、アーサー・ミラーの『137 ー 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯』(草思社2010年) を読み始めたら、これがまた面白くて、ユングへの興味が再燃しそうだ。フォン・フランツの “Numbers and Time” をはじめとして買い集めてはいろいろ放り出してある「数の神秘」についての本も片付けにゃならんしな。


2011年2月23日(水)くもり

なんとも静かな一日だった。ぼちぼち花粉の季節が来たようで、ちょっと目がかゆくなってきた。

一昨日の日記のスターリングの公式がちょっと間違っていたので修正した。それと、偶然気づいた公式は高木貞治の『解析概論』ではウォリス(John Wallis, 1616 - 1703)の公式と呼ばれているので、そのように加筆した。あと、昨日の日記のネタにしたアクセスログも日付を間違えていたので訂正する。アクセスログと言えば、今月8日に「愛媛のネギ葱殿下」という検索語句でアクセスしてくれた人がいる。誰だろうな。

そういえば、レムニスケートのほかに以前にちょっと扱ったリマソンの長さの問題 (→2007年6月6日の日記) も積み残している。このテの代数曲線の幾何を本格的に扱うには楕円関数を知らないでは済まされない。積ん読本であふれ返っているオフィスの書棚を整理している最中ではあるが、梅村浩『楕円関数論』(東京大学出版会, 2000年)という本を買ってきた。


2011年2月22日(火)はれ

一昨日から話題のレムニスケートというのは、こんな形:

レムニスケート曲線のグラフ
直交座標では \( (x^2+y^2)^2=x^2-y^2 \)
極座標では \( r^2 = \cos2\theta \)

このグラフはiPad上のQuickGraphというアプリで作図したもの。方程式を入力するとグラフを描いてくれる。結果を画像データとしてアップル純正「写真」アプリに転送して、さらにMacの「プレビュー」で読み出すことができる。これは大変に便利だ。とはいえ、Mac上にたとえばGNUPLOTがあれば、そのほうがはるかに高機能であるから、インストールしておくことにしよう。

実はいま朝の9時。昨日「期末テスト採点まつり」があと少しのところで中断されたので、今日はこれから「期末テスト採点あとのまつり」、それから毎回の小テストと3回の宿題と期末テストのウェイトを決めて成績をつける。というわけで、続きはあとで。

やる気のないあひる

全然関係ない話だけど、レンタルサーバのアクセスログによれば、昨日「出張から帰ったら妻が寝室に男をつれこんでいた」という検索語句でYahoo検索して「てなさく世界」にアクセスして来た人がいるようだ。俺ならそんな非常時に悠長にWebの検索などはしないから、まさか本当にそういう目に遭ったのではあるまい。きっとある種の性癖をお持ちの方が、徒然に読むものをお探しになっていたのだろう。お役に立てなくて申しわけない。それにしても、何をどうすれば俺のサイトが「出張から帰ったら妻が寝室に男をつれこんでいた」という語句にヒットするのか、好奇心に駆られて自分でも検索してみたら、検索結果の39件目に2007年10月の日記が次のように掲載されていた。

翌日追記: もう一度ログを見なおしてみたら、ある種の性癖をお持ちの方が徒然に読むものを探しにいらしたのは「昨日」ではなくて今月16日のことだった。訂正します。

Yahoo! Japan 検索結果

一応、検索に用いられた主な言葉は登場している。「妻」も「寝室」も「連れて」も「から帰っ」も登場してはいる。この年の10月には行かなかったが出張だってたまにはする。が、もしもその《ある種の性癖をお持ちの方》が、この引用部分を見て、わがサイトに《徒然に読むもの》をお求めに見えたのだとしたら、その方はなんというか、なかなか天晴れな強かな想像力の持ち主だと言わねばなるまい。

やる気のないあひるやる気のないあひるやる気のないあひる

というわけで、午前中に採点を終わらせ、成績入力も済ませて一件落着。レムニスケートの話に戻る。どうやら古典解析の時代にレムニスケート曲線のパラメータ表示が楕円函数との関係で深く調べられているようだ。直交座標系での方程式 \((x^2+y^2)^2=x^2-y^2\) に \(y=x(1-t^2)/(1+t^2)\) を代入すれば \[ \left\{ \begin{aligned} x = & \frac{t(1+t^2)}{1+t^4}\\ y = & \frac{t(1-t^2)}{1+t^4} \end{aligned} \right.\qquad(-\infty< t<+\infty) \] というパラメータ表示が得られる。この表示は曲線の形状そのものと同じくらいきれいだと思う。

いっそのこと、有志でレムニスケートの幾何を研究するゼミを立ち上げて、発表会のときは皆で この曲 を歌って踊ることにしてはどうだろう。…などとアホな考えが浮かんだぞ。わははは、ネタが古くてすまん。


2011年2月21日(月)はれ

土日に出勤すると、先週の水曜日なんてほんの五日前なのにもう遠い昔のようだ。ようやく最後の一人が期末テストを受けたので、さっそく採点に取りかかる。思ったよりみんなよくできている。

きょうはオフィスにベースボードヒーター撤去跡のペンキ塗り直しと書棚の耐震の工事あわせて二件が入っていた。工事も済んで調子が出だした夕方になって、妻から論文の刷り直しがいま佳境で手が離せないから幼稚園に【息子】を迎えに行ってくれとの電話。それを言うなら俺だってテストの採点が佳境なのだが、それはまあ論文のプリントアウトより多少は手が離しやすいし、妻のいる重信の医学部よりは俺の仕事場のほうがずっと幼稚園に近いし、そもそも子供にあんまりワリを喰わせるわけにいかないから、言われた通りにする。妻の論文改訂作業が予想外に遅くなっているのは、妻の指導教員がちょっと何かあるとすぐ妻の論文指導を後回しにするせいもある。どうやら大学院生であるわが妻の面倒を見ることを事実上放棄しているらしい。そのトバッチリがしばしばこちらへ飛んでくるが、俺のところへ飛んできたトバッチリを他所へ飛ばすわけにはいかない。

やる気のないあひるこれもやる気のないあひるこれまたやる気のないあひる

昨日の話の続き。 \[ \frac{1}{4^n}\begin{pmatrix} 2n\\ n\end{pmatrix} = \prod_{k=1}^{n}\left(1-\frac{1}{2k}\right)\tag1 \] という等式と \[ \lim_{n\to\infty}\sqrt{n}\prod_{k=1}^{n}\left(1-\frac{1}{2k}\right) =\frac{1}{\sqrt\pi}, \qquad \lim_{n\to\infty}\frac{1}{\sqrt{n}}\prod_{k=1}^{n}\left(1+\frac{1}{2k}\right) =\frac{2}{\sqrt\pi} \tag2 \] という評価(ウォリスの公式)を知った。(1)は二項係数の定義から直接計算できるが、irb (Interactive Ruby) コマンドを使った数値計算の結果をみて(2)が成り立ちそうだと気づいたときには、思わず うわっ と声をあげてしまった。だがひとたび極限値の見当がついてしまえば、(2)はスターリングの公式 \[ n! \sim \sqrt{2\pi} n^{n+1/2} e^{-n} \] を使って示すことができる。これに三角関数の無限積表示 \[ \prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{x^2}{n^2}\right)=\frac{\sin \pi x}{\pi x} \] を加味してもう少し計算すれば \[ \prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\left(\frac{1}{2k}\right)^2\right)=\frac{2}{\pi}, \qquad \prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\left(\frac{1}{2k+1}\right)^2\right)=\frac{\pi}{4} \] といった公式が得られて楽しめる。

これらの結果から、昨日の定積分の無限級数表示 \[ \int^1_0\frac{du}{\sqrt{1-u^4}} =\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{4^n(4n+1)}\begin{pmatrix} 2n\\ n\end{pmatrix} \] の打ち切り誤差は \(1/\sqrt{n}\) のオーダーで減少することがわかる。 つまり、小数点以下 \(k\) 桁まで近似計算しようと思えば、おおよそ \(10^{2k}\) 項の部分和を取らないといけなくて、ずいぶん効率が悪い。被積分関数 \(1/\sqrt{1-u^4}\) に現れる指数4を他の(正の)数に置き換えても収束の速さ(というより遅さ)があまり変わらないのも面白い。

いろいろわかって面白かったが、目標であるレムニスケートの弧長によるパラメータ表示まではまだまだ遠い道程だ。


2011年2月20日(日)くもり

卒業研究発表会二日目。うちのゼミ生は前原先生の『数学基礎論入門』のあらすじというかハイライトをピックアップして順番に発表するというかたちをとる。ひと月以上ずっとゼミで発表の練習ばかりしていたおかげで、皆それなりに立派な発表になった。しかし、自分のゼミの発表のときは、自分がしゃべるわけでもないのに、やはりけっこう緊張する。きっと、ピアノの発表会の俺の出番のときには、O野先生がこんな心持ちなのだろう。

すべての発表が済んで、夜は生協のレストランでウチアゲ。皆それぞれに肩の荷が降りて、和気藹々という雰囲気で楽しかった。

やる気のないあひるこれもやる気のないあひるこれまたやる気のないあひる

さて、発表会の片手間に、定積分 \[ \int^1_0\frac{du}{\sqrt{1-u^4}} \] が何かきれいな値になるかどうか、内職的に考えていた。特異積分が収束することと、数値としては 1.29 より少し大きく 1.30 には満たない数だということはその場で確認できた。この定積分は実はレムニスケート曲線 \[ (x^2+y^2)^2 = x^2 - y^2 \] の長さの4分の1なので、そういう幾何学的な興味からちょっと気になったのだけど、それだけでなく何か数論的に意味のある値だったら面白いなと思ったのだ。こういう問題に取り組むと、自分の計算力のなさを痛感して情けなくなる。結局、帰宅してから岩波数学辞典の公式集に \[ \frac{1}{\sqrt{1+x}} =\sum_{i=0}^\infty\frac{(-1)^i(2i)!}{2^{2i}(i!)^2}x^i \qquad(|x|<1) \] という級数展開を見つけた。俺だったらこの式を、二項係数を使って \[ \frac{1}{\sqrt{1-x}} =\sum_{i=0}^\infty\frac{1}{4^i}\begin{pmatrix} 2i\\ i\end{pmatrix}x^i \qquad(|x|<1) \] と書きたいところだが、まあそれはともかく、この公式を使って \(1/\sqrt{1-u^4}\) の不定積分の冪級数表示が得られ、ほどなく \[ \int^1_0\frac{du}{\sqrt{1-u^4}} =\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{4^n(4n+1)}\begin{pmatrix} 2n\\ n\end{pmatrix} \] という式を得た。では、この級数の収束の速さはどのくらいだろうか。もう少し調べてみよう。


2011年2月19日(土)はれ

午前中は小学校の音楽発表会。子供たちの合唱は素敵だが、3年目ともなるとさすがに合奏の編曲のワンパターンぶりが気になりだした。限られた時間で子供が練習してマスターできるには仕方がないのかもしれないが、ちょっと難しい動きの細かいところはすべてシロフォンにやらせ、鍵盤ハーモニカやリコーダーは譜割りが単純で音数の少ない簡単な楽譜になる。それはそれでいいのだけど、全部がそうだとさすがに飽きる。とはいえそれはもちろん子供たちのせいではない。【息子】はどうにかいい子で聴けた。この子が来年の今頃にはこうして舞台に立っているというのが、ちょっと想像がつかない。けどまあ、いまの一年生にもいくぶん幼稚な感じの子は(とくに男の子には)いないわけではないので、きっと案ずるより産むが易しということなのだろう。

午後は大学に行き卒業研究発表会に顔を出す。自分のゼミの発表は明日なので、セッション終了後最後の練習にとりかかり、8時前に解散。大学にこの時間まで残るのは久しぶり。歩いての帰り道、夜風が春らしくなっているのを感じる。


2011年2月18日(金)くもり

修士論文発表会。M1の学生たちは蓋を開けてみたら7人が来てくれて大いに安心した。なにせM2が20人いるから発表会は丸一日続く。明日と明後日には学部生の卒業研究発表会があり、俺はきょうの午後にはうちのゼミ生の最後の練習につき合わねばならない。ところがその同じ時間に位相空間論のN先生やD教授のところの大学院生の修論発表が重なっている。発表内容は月曜の審査会で聞いているからいいのだが、N先生は超多忙、D教授は海外渡航中、俺はゼミに行ってしまう、となると、発表会で的を射る質問のできる人が誰もいないかもしれない。なかなかうまくいかないものだ。

それにしても、このごろの気持の余裕のなさはどうしたものか。


2011年2月17日(木)あめ

午前中は期末テストの再テスト一回め。昼休みに会議があり、昼飯はそのあとだ。

さてさて、明日は修士論文発表会だが、運営担当のM1たちの集まりがどうにも読めない。サポート責任者としては憂鬱だ。


2011年2月16日(水)はれ

朝はとても寒かった。今朝に限っていつものカフェにお客さんがずいぶん多かったのも寒さのせいではないかと思うくらいだけど、午後からはむしろ暖かくて、春の近さを感じさせた。

トポロジーの期末テスト。きょう来れなくて再テストを受ける人が何人かいるので採点は月曜日までしない。


2011年2月15日(火)はれ

あいかわらず寒いけれども、立春を過ぎて日もすこしづつ長くなり、寒さの底のほうに、何とはなしに春の訪れを感じる、明るく澄み渡った晴天になった。午前中は院試のためにゼミ室が塞がっていたので、研究室でTK橋くんのパワーポイントのファイルを見たあと、ゼミ生3人と一緒に学食で早めの昼食をとり、それから一草庵へ散歩して早春の陽光を満喫。午後の卒研ゼミでは、例によって発表会のリハーサル。

その後の3回生ゼミは今日が最終回だ。昨年10月から中村亨『ガロアの群論』(講談社ブルーバックス)を読んできて、どうにかガロアの定理の半分「与えられた方程式のガロア群に、条件 (P) をみたす (つまり各段階の部分群のサイズの比が素数である) 正規列があれば、方程式は冪根で解ける」という十分条件を理解するところまでたどりついた。平易な説明が心がけられている点は評価できるが、肝心の不変式の構成法の詳細が省かれていたり、ほとんどトリヴィアルな実例しか出てこなかったりで、この本の説明でガロア理論が理解できるようになるとはとても思えない。

やる気のないあひるこれもやる気のないあひるこれまたやる気のないあひる

このページに『ガロアの群論』に関する検索でたどり着く人もいるかもしれないから, 6.3節「ガロアの主定理ハーフ」の核心となる数 \(\rho\) の構成法について, ひとこと書き残しておく. 用語がケッタイだが, これは『ガロアの群論』の記述に合わせているからであって, 俺のせいではない.

方程式のガロア群に正規部分群が与えられていて, その「組の個数」が素数 \(p\) であったとする. このとき, この正規部分群に対する「組と組の間の置換」のひとつを \(S\), その位数を \(n\), もとの方程式の解のひとつを \(a\) として \[ \rho = \sum_{k=0}^{n-1}\left(\sum_{T}\,\omega_p^k\cdot S^kTa\right) \] とおこう. ただし, \(\omega_p\) は \(1\) の原始 \(p\) 乗根 \(e^{2\pi\sqrt{-1}/p}\) をあらわし, 内側の \(\sum\) では正規部分群の「組の中の置換」 \(T\) 全体にわたって和をとるものとする. このとき, \(\rho\) は, 正規部分群の「組の中の置換」で不変だが, \(S\) では \(\omega_p^{-1}\) 倍に値が変化する. そこで \(\rho^p\) はガロア群のすべての置換のもとで値が不変で, 「使ってよい数」ということになる. この \(\rho\) を添加して「使ってよい数」の範囲を拡大すれば, 方程式のガロア群のほうは先ほどの正規部分群に縮小されることになる. これが上に引用した「ガロアの主定理ハーフ」すなわち十分条件のほうの核心だ.

通常の代数学の言葉に直せば, 「使ってよい数の範囲」というのは体 (係数体とか分解体, あるいはその間の各々の中間体) で, 「組の中の置換」が正規部分群の要素, 「組と組の間の置換」が正規部分群に属しない群要素. 「組」というのは解の置換としてのガロア群を解の順列の集合として表示したさいの部分群の軌道のことだから, 「組の個数」は部分群の指数である. こういった標準的でない用語法と, \(\rho\) という数を考えるにあたって, 2次方程式と3次方程式の例しか与えてくれていないせいもあって, 実のところ『ガロアの群論』の記述を解読してこの式にたどりつくまでに, たっぷり一時間以上かかった.

(2011年2月18日追記) 上記の \(\rho\) の定義において, \(a\) はどんな解でもよいというわけではなさそうだ. 右辺の和がゼロにならないように選ばないといけないのだが, それが可能であることは, \(S^kT\) がガロア群の全要素をわたって動くことを思うと, 決して自明ではない.


2011年2月14日(月)くもり

時折霙まじりの小雨が降り、ずいぶん寒い。朝から夕方まで修士論文審査会。金曜日の修論発表会の段取りを請け負っているので、審査会後に院生たちとその話をした。

仕事場の建物の廊下の照明がセンサー式の蛍光灯になった。これがまた無駄に明るい。視覚にハンディキャップのある学生さんがいるためでもあるので、その意味では無駄ではないのだが、これまで節電のために廊下の照明を消しっぱなしだったので、まるで風景が違う。

iPad のシステムが iOS4.2 になって、純正メモアプリのデータをGoogleメールのアカウントに自動送信できるようになった。これまでは一通メモを書くたびに送信ボタンを押していたのだが、その必要がなくなって、大変便利になった。だが同じことならEvernoteのアカウントに送ったほうがいい気もする。このあたりのことはおいおい実験してみよう。ともあれ、日記の下書きが楽になったので、今後はもうちょっとこまめに更新するように心がける。


2011年2月13日(日)くもり

子供を教会学校に連れて行き、遊ばせている間、妻は教会近所のカフェで修士論文の内容を再検討して二度目の口頭試問に備える。食材を買う必要があったので束本の生協マーケットに行った。ここに来ることがわかっていたら玄米を持ってきて精米するんだったが。昼食は菜の花とベーコンのスパゲティ。大皿に山盛り作って、4人で取り分けつつ、あっという間に完食。

夜は三年生の飲み会に半年ぶりにご相伴。俺の担当の講義の期末テスト直前という前期末と同様のタイミングだ。そのときはハメを外しすぎて悔いが残ったので、今回は努めて静かに飲み食いした。俺は二度目の参加だが、この学年の飲み会自体は3度めか4度めで、さすがに前期末の初飲み会のような無茶な盛り上がりもなく、おとなしく飲み食いして、なんだか「給食の時間」みたいだった。この時期、三年生の最大の関心事は卒業研究ゼミの選び方で、その辺りの相談にも少しは乗ったが、例によって俺のところにはあまり希望者はいるまいという感触だ。一次会が開いて、一風堂でラーメン食って、夜半に徒歩で帰宅。


2011年2月12日(土)はれ

またしても、朝から晩まで子供の面倒を見る週末。


2011年2月11日(金) 建国記念日くもり

久々に茜屋で昼食。それから久米のエコタウンに行って、ブックオフで本をダンボール箱一杯売り、ハードオフでセガサターンのリモコンと「ときめきメモリアル対戦ぱずるだま」のディスクと60GBの中古ハードディスクを買い、オフハウスでパソコンバッグを買った。宮西のハードオフには見当たらなかったセガサターン本体はこちらには何台かあった。Intel Core2搭載のMac miniもあって心惹かれたが、お金が有り余っているわけでもないので断念。


2011年2月10日(木)くもり

昼間はあまり調子が出なかったが、来週以降のスケジュールを考えると、たとえば16日にやるトポロジーの期末テストの問題を作る作業なんかは、今日くらいしかできる日がない。

夕方、いつもの医者に薬をもらいに行く。このところ運動不足ぎみなので、職場から40分くらいの道を歩いて行き、帰りも家まで30分くらいの道を歩いて帰った。途中、久しぶりに宮脇書店に寄って、MacPeopleを買った。

後日追記: 医者にメモ帳を忘れてきたらしい。医院で預かっていると、受付の方が親切に電話で知らせてきてくださったが、どうせロクなこと書いてないメモ帳が人手に渡っていると思うと、それだけでハラハラドキドキだ。だいいち、何が書いてあるかまったく自信がない。というのは当り前で、メモというのは備忘録といって、いわば忘れるために書くものなのだ。(2011年2月12日)


2011年2月9日(水)はれ

先日、patho_logic から面白い問題を聞いた。

最小の順序数 \(0\) から出発して, 最初の不可算順序数 \(\omega_1\) へ向かう各駅停車の長距離列車がある. 各可算順序数 \(\alpha\) が駅である. 始発駅の \(0\) では空っぽの車両に可算無限人の乗客が乗り込む. その後, 各駅に停車する段階で, 車両が空でなければ, 乗客が誰か一人だけ降りて, そのあとに可算無限人が新たに乗り込む. 駅に着いたとき列車が空でも, やはり可算無限人が新たに乗りこむ. 一度降りた人は二度と乗車しない. さて, 終着駅 \(\omega_1\) に到着したとき, 列車はどうなっているだろう.

各駅で無限人乗ってくるとすれば、一人降りたところで焼け石に水で、いつも列車は満員。だから、終着駅は大混雑ってことになる…と思いきや。実はなんと \(\omega_1\) 駅に着く列車はガラガラのスカスカなのだ。各駅を出発するときには、確かに無限人の人が乗っているのだが、「直前の駅」のない極限順序数に到着するときは、必ずしもそうではない。

列車が駅 \(\alpha\) に到着したとき誰か乗客が乗っているような順序数 \(\alpha<\omega_1\) の集合を \(E\) としよう. すると, \(E\) は \(\omega_1\) の定常でない部分集合になる. 証明しよう. \(\alpha\in E\) なら \(\alpha\) 駅で降りる乗客が唯ひとり存在する. その人の乗ってきた駅を \(f(\alpha)\) とすると, 関数 \(f:E\to\omega_1\) は すべての \(\alpha\in E\) について \(f(\alpha)<\alpha\) をみたす. もしも \(E\) が \(\omega_1\) の定常部分集合であったならば, フォドアの補題(いわゆる Press Down Lemma)によって, ある順序数 \(\beta\) について逆像 \(f^{-1}(\{\beta\})\) が定常集合となる. とくに \(f^{-1}(\{\beta\})\) は可算でない. しかしながら, このことは \(\beta\) 駅において不可算無限人の乗客が乗り込んできたことを意味し, 問題の設定に合わない. したがって, \(E\) は定常集合でありえない.

したがって, 駅 \(\alpha\) に到着したとき列車が空っぽであるような可算順序数 \(\alpha\) の集合 \(\omega_1\setminus E\) は \(\omega_1\) において非有界である. (より強く, \(\omega_1\) の閉非有界部分集合を含む.) とすると, どこの駅 \(\alpha\) で乗客が乗ったとしても, その先の無数の時点で, 車両はたびたび空になり, 乗った人は必ずそれまでのどこかの駅で降りていることになる. 終着駅 \(\omega_1\) まで乗っていく乗客は, 一人もいないのである.

定常集合やフォドアの補題については かがみさんが書いてくれている のでそちらを見てください.

なんとも不思議な結論である。同じ数学的カラクリをこうも言える: 無一文のあなたは、無限カジノ「カントール・パラダイス」に遊びに行き、あるゲームに参加する。このゲームは手持ちのチップがなくても参加できるが、ちょっとでもチップを持っている人は、参加するたびに一枚を支払わなければならない。そして、ゲームに勝っても負けても、参加するごとに、可算無限枚のチップが貰える。あなたは最初無一文で参加し、まず可算無限枚のチップを手に入れる。そして次からは、その無限枚のチップを一枚つづ使って、無限の回数、ゲームに参加しつづけることができる。一回だけで止めて帰ってくれば大儲けのはずだし、無限回参加したとしても、\(\omega\) 回とか \(\omega^\omega\) 回とか、可算順序数のところで止めることにすれば、参加料の払い方を工夫して、無限枚のチップを稼ぐ方法がある。ところが、ちょっと欲をかいて不可算無限回ゲームに参加しようとすれば、\(\omega_1\) 回めのゲームの時点でスカンピンになることは、どうしても避けられない。儲けを得ようとすれば、あなたは「後続型順序数」の時点で勝ち逃げするか、あるいはうまく参加料の払い方を工夫して「共終数が不可算な要素が上に有界であるような極限順序数」でゲームへの参加を打ち切る必要がある。


2011年2月8日(火)くもり

携帯電話は、なにしろつねに持ち歩いているので、そこへ情報を集約できれば確実ではあるのだが、スマートフォンならぬ普通の携帯電話(いわゆるガラケー)は、機能がどんどん増えていく一方でユーザーインターフェイスは従来どおり画一的で扱いにくい。文字入力が面倒で字数制限も厳しい。このごろの過剰なほど多機能の携帯電話は、メニューが細分化してしまっていて、たとえば待受画面にすら「モード」のようなものが存在するようになって、同じボタンでもモードごとに動作が違ったり、いろいろめんどくさくなってきた。

そこで、このさいスケジュール管理を iPad のカレンダーとMacBook ProのiCalでやることにした。携帯電話ほど確実ではないが iPad なら毎日開くし、MacBook Proで iCal をログイン時に開く項目に指定しておけば、いやでも毎朝スケジュールチェックをすることになる。そう思ってスケジュールを入力しはじめて気づいたが、今月の後半はなんだか妙に予定が詰まっている。土曜日に仕事が入って子供らの学校行事の予定とバッチリ衝突してしまっているし、20日と27日は日曜日も仕事である。ふむ。この稼業、2月が一番忙しいのかもしれない。


2011年2月7日(月)くもり

久々に集合論無責任トークだ。ただし、内容はほぼ以前の繰り返し。

19世紀なかばごろまでの路線の延長にある「普通の数学」にとって、集合論のありがたみは、なによりも、完備化を可能にしてくれるところにある。ところが完備化は、関数空間なり冪集合なりの広い意味での generic な要素という、沢山の魑魅魍魎を招き込む。そいつらの扱いをどうするか。健全な普通の数学者の発想は、そんな奴らの相手はせずに rational な要素、generic でなく specific な要素について考えましょう、というものだろう。では、 rational と irrational あるいは specific と generic の間の線はどう引かれるのか。この問題に、 rational の側からその領域の限界まで踏査することで答えようというのが、記述集合論という試みだと言えそうだ。

実数の集合論というのはもう少し違っていて、連続体仮説なり何なりの独立性を受け入れた上で、その独立性証明の方法を拡張して連続体の部分集合にかんするいろいろの論理的な可能性を検討し、それらの間にある、Cichonの図式のような一定不変の関係を発見しようとする。

いずれにせよ、これらの試みからは、連続体仮説の「正しさ」についての知見は直接には得られない。また、巨大基数公理も連続体仮説の正しさに直接の影響を与えない。

いっぽう、集合論の宇宙の構造の核になる部分をジェネリック拡大で変えることはできない、という generic absoluteness の仮説は有望だ。ZFCの公理がジェネリック拡大で壊せないこと。巨大基数公理から取り出されてくる内部モデルの構造の青写真、たとえば \(0^\sharp\) など、がジェネリック拡大で壊せないこと。マーティンの公理 MA などの強制公理 (forcing axioms) がこの generic absoluteness の主張に翻訳できること。こうしたことが、generic absoluteness が集合論の仮説として自然で適切であることの状況証拠になってくれる。そこで、ZFCから独立な命題が数多あるうちで、generic absoluteness の仮説から導かれる命題こそは、「本当」に近いのではないかと考えられる。

たとえば, 十分多くの巨大基数があるときには \(L(\mathbb{R})\) の理論がジェネリック拡大のもとで不変であり、かつ \(\mathbf{AD}^{L(\mathbb{R})}\) が成立する, という結果は、 \(\mathbf{AD}^{L(\mathbb{R})}\) が「本当」の側にあることの状況証拠と考えられる。もちろん、この《「本当」の側にあることの状況証拠》という言いかた自身が、さらなる説明を必要とするのだけれど。

最先端の集合論研究は、このようなアプローチで集合論の宇宙の真の姿に迫ろうとしている。

俺はどうかというと、こうした最先端から大きく遅れていてもはや距離を埋めようもないことは自覚しているので、記述集合論の始原に遡り、数学にとって集合論とは何だったのか、という問を究めたいと思っている。

まあ、時々はこういうことを書いて、そもそも自分が何をやりたくて数学の勉強などしているのかを、思い出そうとしているわけです。


2011年2月6日(日)くもり

一日、子供の世話でくたびれた。昼食にびんちょうまぐろを買ってきてネギトロ丼を作ったらうまかった。


2011年2月5日(土)くもり

土曜日恒例、朝飯と昼飯の段取り。朝飯にはひき肉の炒めたやつとニラの茹でたやつをご飯に乗せて食った。昼飯にはスパゲティを食った。ソースは朝飯の片付けのときに一緒に作ったトマトソース。やっぱしトマトソースは煮込んでから少し時間を置いたほうがうまいぞ。


2011年2月4日(金)くもり

三宮のヤマダ電機でiPadのレザーケースとBluetoothキーボードを購入。新神戸駅で早めの昼食をとりおみやげを買って、昼過ぎの新幹線に乗って帰路につく。夕方はピアノのレッスン。全然練習できていないのでなんだか先生に申しわけない。楽器店が改装工事のため閉店していて、音楽教室2階のレッスン室のひとつが仮事務所になっている。姿は見えずともフロアに人がたくさんいると思うとそれだけでなんだか教室の雰囲気が違う。


2011年2月3日(木)くもり

マイヤー・ヴィートリス完全系列の計算を復習しつつアンパンマン列車に揺られて瀬戸大橋を渡り、神戸にやってきた。用件は6月の学会のワークショップに先立つ打合せ。まだ出願前だからなんとも言えないが、数理論理学のこれまでとこれからをめぐる異種格闘技セッションになる予定で、きょうの打ち合わせもなかなか面白かった。その後、六甲道で皆で飲み食いしているときに、珍しく兄から電話があって驚く。宿は京町のヴィア・マーレ神戸


2011年2月2日(水)くもり

トポロジーの講義は今日を入れてあと2回。少し迷ったのだけど、マイヤー・ヴィートリス完全系列とそれを使ったホモロジー群の決定という話題で講義をしめくくることにした。今回と次回の二回ぶん一気に準備するくらいの勢いでノートを6枚準備して、今日はそのうち3枚半、連結準同型を定義してその核と像を特徴づけするところまで語った。いままでより内容の濃い話になったはずだが、学生さんにはどう見えただろうか。次回にはマイヤー・ヴィートリス完全系列を定義し、その応用としていくつかの図形のホモロジー群を計算してみせてオシマイということになるだろう。具体例としては、輪、筒、トーラスの順に計算できたら御の字だが、さてどうするか。

市民コンサート事務所から、お払い箱になった古いデスクトップ型VAIOを引き取ってきた。もともとはOEM版のWindows XP Home Editionが入っていたはずで、一年ほど前に、壊れたハードディスクを交換したついでにシステムリカバリをかけ、サービスパック未適用の状態から苦労して最新のアップデートまでこぎつけた記憶がある。だが、きょう再確認したところでは、データ消去のときにOSまで消されていた。リカバリCDが事務所にあったからそれも引き取りに行かねばなるまい。整備すればまだ使えるように思う。


2011年2月1日(火)くもり

ポーランドの数学者ステファン・バナッハは1892年生まれで1903年にはまだ11歳だし、雑誌「フンダメンタ・マテマティケ」は1920年創刊だ。それなのに、俺は昨日、なにを勘違いしたか、1903年にバナッハがフンダメンタに論文を発表していると一人合点して「おおっ、ツェルメロ以前のこの時期にこの内容で論文を書くとは、すごい!!」と興奮していた。そのあまりの大間違いにけさ気がついて、今度は一人で大いにウロタエた。ああ恥かしい。実際には当該論文は1932年に発表されたものだった。この二つの時点のあいだで、集合論の認知度には大きな変化があった。1920年のフンダメンタ創刊の時点では、集合論とその応用に特化した専門誌を「数学の基礎」という誌名で創刊できる程度には、集合論は認知されていた。いっぽう、ルベーグの学位論文とツェルメロの整列定理の中間に位置する1903年という時点では、集合論はまだ未発達の、アヤシイけれど面白い分野という扱いだったのではないだろうか。